会社の最前線が営業
私が新卒で入社した会社は大卒男子は90%営業スタートで、女性は10%で全員本社勤務です
採用に配属された私も「目標採用数に大幅未達」という理由で採用にいた同期は全員が半年で全国の支店に営業として出されました
平成とは言えまだまだ昭和のモーレツの熱量が強い時代「結果が出せなかったなら売上で貢献しろ」という倫理が通った時代です
社会人のスタートは集団左遷から始まります
日本人は親も子も「東京の本社で働くのがいいこと」という風潮があり、地方で営業に転属を都落ちのように捉えていました
ほとんどが意気消沈して地方の支店に転勤していきましたが、私の場合はこの令和から見れば乱暴とも言える会社の方針が好きでした
「営業は目標数値やノルマを追う毎日だ!」
「売上を棒グラフなどで競わせられる」
「顧客のわがままに振り回される」
などを理由に営業職を嫌う人間もおり、企画やマーケティング、商品開発などクリエイティブな仕事が人気がありました
私より2年下から全員営業からスタートになりましたが、これが平成不況を生き延びる強さになったと思います
「全員、最前線に配属」ということです

五感で学べる営業
営業や販売のいらない職種もあります
病院のように待ちの仕事などですが、多くの企業が製品やサービスを顧客に売り込みながらお金を稼いでいます
『営業マンを増やせば会社の売り上げは伸びるが、その他を増やしてもコストでしかない』というのは事実です
そういう意味では本社はコストセンターです
家族に例えても外で働く人が増えれば家には多くのお金が入ってきますが、働くのはおとーちゃんだけで、お年寄りや子供などの扶養家族ばかりだと家系は苦しくなります
営業は稼ぐのが仕事ですから当然目標数値やノルマがあります
最前線なので生の情報を五感でキャッチできます
スキル薄弱な新人が成長に必要な体験学習の場でもあります
『目標を達成した喜び』か『顧客に感謝の言葉をもらう』のが見返りになります
営業現場にいない限りマーケットの生の情報はわかりませんので、最前線での体験学習期間は極めて貴重な期間になります
その後の企画の仕事でも、支店長のような営業管理職でも、採用・教育でも、営業での経験は大いに活きました

ネスレも全員が営業からスタート
1886年スイスで創業し、1913年に日本にも設立、188か国でビジネスを展開して売上高で世界最大の食品メーカーネスレは、いかなる職種の希望者でも全員がまずは「営業職」に配属するそうです
社長自身マーケティングがやりたくてネスレ日本に入ったが、最初は営業で「なんで?」という気持ちだったそうですが、営業に出ると商品の流れがわかると言います
工場で作られた商品が卸業者を通って、スーパーマーケットの物流センターに入って、店頭に来て、消費者が買っていく流れだったり、実際のお金の流れだったり、それを知らないでマーケティングなんかできるわけないと感じたといいます
実際、マーケティングをやり始めたときに結果的に理解するスピードが早かった と述べています
今は価格改定も迫られていますが、1回も現場で商品を売ったことない人間が、どんなプライスを設定できるのか、1回も商品を陳列したことのない人間がどんなPOPを作れるのか、営業担当からしたら信じられないことだと述べていますが同感です
ネスレでは「財産はブランドと人」だと言い続け「ネスレでずっと働きたい」と思ってくれる社員が1人でも多い文化であってほしいと願っており、公表はしていませんが今でも離職率は相当低いそうです
「これからはどうやっても日本全体が人手不足になるのは間違いないが、会社の魅力度を高めていかないといけない 」という考えは非常に共感できます
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました
