高度成長期に生まれた終身雇用制度
「終身雇用は困難になってきた」「終身雇用崩壊」などをよく目にするようになりました
トヨタ自動車の豊田章男社長が「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた発言が話題を呼びました
同時期に経団連の中西宏明氏も終身雇用の困難さを述べました
終身雇用とはなんでしょう・・・
従業員に入社から定年まで在籍してもらって 長期的な目線から人材を育成すること そして従業員は「安定した雇用と収入」という定年まで収入を得られるという「保証」を得られるのです
これは「制度」であって「法律」ではありません
日本に長らくこの制度が定着できたのはなぜでしょう
まずは 高度成長期&安定成長期 に生まれた考え方が「終身雇用」「年功序列」「企業組合主義」です これは「三種の神樹器」と呼ばれました
好調期はOECD(経済協力開発機構)も「これが日本経済好調の要因」と述べています
その他 農耕民族だから「一所懸命」=一つの場所で勤勉に働く
武士道精神で「独りの主君に忠実に使える」なども言われました
終身雇用と年功序列は
・企業内の社員の技能を高めることができた
・企業愛の育成が出来た
というメリットもありました
「学校を出たら一つの企業で定年まで働く」が日本の就労モデルだったのです
半分は10年以上働く
「終身雇用は終わった」とは言っても日本の法律では 滅多なことで人は解雇できません 日本の労働者はガッチリ法律に守られています
会社がどんなに辞められると困る と言っても 自由に辞めることができる
会社がどんなにいてほしくない と思っても 辞めさせることが出来ない のが 日本の法律です
先進国の10年以上勤続している長期勤続者の割合は
日 本 ・・・・ 45.8%
アメリカ・・・・ 28.8%
イギリス・・・・ 31.6%
カナダ ・・・・ 29.7%
ドイツ ・・・・ 40.3%
オーストラリア・・25.0%
デンマーク ・・・27.0%
韓 国 ・・・・ 21.5%
労働政策研究・研修機構の「勤労生活に関する調査」では「終身雇用」を指示する者の割合は過去最高の87.9% と発表しています 9割近くは終身雇用を望んでいます
転職経験のない男性社員の割合は
20代前半 70%
30代後半 42%
40代 38%
50代前半 36%
転職なしで勤め続けている人は32%です
一方で アンチ終身雇用派もおり
「能力のない人が上に上がっていく」
「給料が増えない 成果主義にすべきだ」
「スキルを磨いたらステップアップで転職するのが当たり前」
と終身雇用・年功序列を嫌う人も増えつつあります
私は新卒で入社した会社に24年勤務し かつての上司が立ち上げたコンサルタント会社に引き抜かれました
やはり「会社に24年も育ててもらって裏切者」的な空気が非常に強かったです
社会は修行の場
「就職したら会社は自分を鍛えてくれる道場だと思いなさい」
空手の師匠が教えてくれた言葉です
良い言葉は風化しません 学生時代に聞いた言葉でも今でも生きています
「安定第一に生きる」のも「好きなことを優先し自由に生きる」のも人それぞれの価値観の違いです
私達の現在の環境はテレビ・新聞の情報だけではありません 大きく発達したインターネットのお陰で様々な情報が入ってきます
当然 考え方も変わります
考え方が変われば 価値観も行動も変わります
パスカルの言葉に
無知を恐れるな
いつわりの知識を恐れよ
とあります
情報洪水のなかで・・・ 多様化する価値観の中で・・・
自分の生き方 社会の環境 をしっかり捉えて前に進むことが大切だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました