ある管理職の惨劇
とある大型リゾートホテルの採用を受けもったことがあります
大型リゾートにありがちな「施設は大きくて場所は僻地で人が住んでない」 とにかく人手不足で何とかしてほしい・・・と白羽の矢が立ちました 採用担当者が嫌がる部署です
和洋レストランはありましたが和調が若手が良く育つのに対し洋調は若手が全滅 1年ももちません 総支配人も「うちの集客の大事な部署なんだよ!本当にお願いいたします」と嘆願してきます
副料理長が若手の採用、育成に積極的で お互いバブル衰退後の苦しい時代に世に出て生きてきたことで意気投合しました 採用にも協力的でした
調理師の採用は私も初めてでしたが和調6名・洋調12名を採用 施設総勢30名の新卒採用でした 新規OPENなみです 洋調の副料理長も偉く張り切っており 自分の育成理念を熱心に語ってきました
新入社員の入社研修を2週間受け持ってあとは現場のOJTに任せます
GWが終わったあたりから洋調のみ新入社員の退職がぞろぞろ出ます!「えっ、なぜ?」すぐにフォロー面談を行いますが原因は副料理長
この人は親に教師に社会に出てからも先輩たちにマイナスストロークしか受けてこなかったんです
ストロークとは
心理カウンセラーの方は交流パターン分析で重視している方が多いと思いますが、ストローク=ふれあい・かかわりあい というものが心理学用語であります
・他人の存在を認め その認めたことを表す言動
・「私はあなたの存在を認めます」といメッセージのやりとり のことです
ストロークには、プラス と マイナス があります。
プラスは、ハッピー=気持ちよく感じる ストローク
マイナスは、アンハッピー=痛みとして感じる ストロークです。
たとえば、ストロークの表現方法として
①身体で表現するもの
プラス・・・抱きしめる・握手する・なでる
マイナス・・殴る・蹴る・ぶつかる
②言語で表現するもの
プラス・・・ほめる・はげます・なぐさめる
マイナス・・罵倒する・叱る・けなす
③非言語で表現するもの
プラス・・・微笑む・見守る・うなずく
マイナス・・にらむ・見下す・無視する
人間社会では、人はさまざまなストロークを受けて生活しているのです
ストロークは人が生きていくうえで、水や空気と同じように絶対必要条件なのです
マイナスなストロークでも全くもらえないよりましなのです 無視されるということは実は生きていくうえで究極に苦しい環境なのです
プラスストロークで育成することが大切
虐待されてきた幼い子供は、虐待する母親と引き離しても絶対母親の悪口を言いません
マイナスのストロークしか知らない子供は、また母親のマイナスのストロークを求めます
この管理職も「高校出たら早く出てけ」と小さなころから言われ→東北から東京に出て夜中まで働き、自力で調理師学校を出て→就職氷河期に就職し「いつでも辞めていいんだぜ」などの冷たい言葉を毎日浴びせられ それでも腕を磨いて大手企業に転職し副料理長まで上がってきました 忍耐力と技術、理念は素晴らしいものがあるのも確かです
ただマイナスストロークしか知らないとプラスストロークの表現方法を知りません
新卒定期採用は管理職候補ですから厳しくしてもプラスストロークを多めに育てなければなりません
ストロークは貯金できます
プラスを貯金してきた人は自然と他人にもプラスを与えますし、少々マイナスを受けてもプラスに変換できる力があります
終始甘やかすのはやはりぬるい人間を創るので厳しさは必要ですが、社会人のスタートこそ多くのプラスストロークを与えるべきだと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました