不自由は強く自覚するが自由は無自覚
「若いうちの苦労は買ってでもしろ!」はよく理解していますが、やはり苦労は避けます
『自由に生きてきた人間ほど不自由に耐えられない』と言います
役職定年なるものが定着しだした時代の50代がそうです
部長、課長の冠をかぶり、面倒なことを下に押し付けてきた人は役職を失うと苦労します
逆に面倒なことや、クレームなどの嫌な仕事こそ積極的に引き受けて、部下には働きやすい環境を創っていた人は冠が取れても苦にならないようです
まさに「楽あれば苦あり」ですね
「プライドばっかり高い」「面子ばかり気にする」人は役職を失うと苦労しそうです
以前千葉県で大規模な停電がありましたが「照明の明るい部屋で、エアコンきかせ、テレビはつけっぱなしなのにスマホをずっといじり・・・なんと贅沢な生活をしていたことか」というツイートが心に残ってます
『不自由は強く自覚するが、自由は無自覚』なのが私達凡人のようです
逆境に強い人と弱い人
医療社会学者アーロン・アントノフスキー博士によると、第二次世界大戦時、ユダヤ人強制収容所という過酷な状況を生き抜いた人たちには「首尾一貫感覚」があると言います
ナチスの強制収容所での過酷な体験や大災害などは、当事者にとっては「想定外」の出来事で、普段は「把握可能感」が高い人であっても、想定外の事態に遭遇すると見通しのつかない未来に不安になります
「処理可能感」が高い人であっても「なんとかなる」と思える根拠が見当たらなくなります
そんなときにネガティブな事態を「意味があるもの」ととらえる「有意味感」を持つことができれば、前を向くことができます
この有意味感が首尾一貫感覚のベースになるものだと言います
人が悩む理由の根本にあるものは
①なりたい自分になれない(自分自身のこと)
②理想の状態ではない(自分を取り巻く人間関係や環境のこと)
の2つの漠然とした内容が多いようです
これらは人間関係や能力、やりがい、老い、病気、被災、貧困などの問題と言い換えることができます
このような『壁』が立ちはだかったとき、人はどう受け止め、どう対応をすればよいのかが、逆境への対応力に関係しているようです
「人生には3つの坂があり!上り坂・下り坂・まさか」
というように、人生にまさかはつきものです
首尾一貫感覚を構成する3つの感覚
首尾一貫感覚は心理学や健康社会学領域の研究者の間では広く知られている概念で、別名「ストレス対処力」や「健康に生きる力」などと呼ばれているようです
首尾一貫感覚は大きく3つの感覚から構成され
①把握可能感=だいたいわかった・・・自分の置かれている状況や今後の展開を把握できると思うこと
②処理可能感=なんとかなる・・・自分に降りかかるストレスや障害に対処できると思うこと
③有意味感=どんなことにも意味がある・・・自分の人生や自身に起こることにはすべて意味があると思うこと
人が過剰なストレスに苛まれているときは、この3つの感覚が低くなっていることが多いと考えられているようです
3つの感覚はそれぞれがバラバラに存在しているわけではなく、互いを補完し合うようにつながっており「把握可能感」が高くて「今、起きていることや将来のことはだいたい自分で把握できている」と思えることができれば「(把握できている範囲で)なんとかなるだろう」という「処理可能感」を持つことができます
また「自分自身に起こる出来事はどんなことにも意味がある」という「有意味感」を生み出す価値観や考え方、アイデンティティなどは「処理可能感」を高めるための要素になります
この感覚は先天的なものではなく、後天的に高められるもので、誰にとっても身につけることによって、苦難に直面したときの大きな力を得ることができると思います
ストレスフルな時代に生きる私達は、前向きに生き抜いた人々が持っていた「生きる為の知恵」を身につけ、逆境に強くなっていくことが大事ですね
迫害されていたユダヤ人だけでなく、現在も「パレスチナのガザ地区」「戦火のウクライナ」「差別の激しいウイグル自治区」など、くらべものの意ならない不自由な生活を味わっている人たちは多くいます
このような不自由の中を生き抜いた人たちからは、学ぶべきものは多いと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました