働く意味の薄まった時代
物が豊かでなかった時代は
冷蔵庫・洗濯機・掃除機・クーラー・テレビ・自動車を作ることにより『人々の暮らしを快適に・豊かにする』という使命をもって働くことができました
日本人の作る製品は世界的にも高い評価を得ていました
『働く意味というものがしっかりあった時代』と言えます
現在はモノが行き渡った時代です
前回『電通の戦略十訓』を掲載しました
1.もっと使わせろ
2.捨てさせろ
3.無駄使いさせろ
4.季節を忘れさせろ
5.贈り物をさせろ
6.組み合わせで買わせろ
7.きっかけを投じろ
8.流行遅れにさせろ
9.気やすく買わせろ
10.混乱を作り出せ
とあるように『需要のないところに需要を作り出せ』という時代です
上記10項目に『誇りを持って働く使命感』は見出しにくいです
「古いものはどんどん捨てて新しい物を買わせろ!」
「もっと不安をあおって安心材料を売り込め」
では働く意味が見出しにくいです
日本人は特に精神の美しさに拘ります
現代は『意味が喪失した時代』という苦しさがあります
資本主義は限界値に達している
2021年のダボス会議では、議長であるクラウス・シュワブ氏が「グレート・リセット」を提言しました
世界の社会経済システムを考え直す必要がある
第二次世界大戦後から続くシステムは異なる立場の人を包み込めず、環境破壊までも引き起こしている
継続に乏しく、時代遅れとなった
『人々の幸福を中心とした経済』に考え直すべきだ
と言うものです
先進諸国の貯金金利がゼロに等しいのは、銀行も「融資してもリターンが少ない」=経済成長は伸び悩んでいるということです
このような状況では『電通の戦略十訓』は極めて正しい戦略ですが、働く側からすれば『働く意味を見出しにくい戦略』と言えます
資本主義は『資本は無限に増殖する』ということを信じている一種の信仰と言えそうです
クラウス・シュワブ氏は
「資本は過剰になり増殖できなくなった」
「資本は無限に増殖するという信仰はもう維持できない」
と言っているのです
人は『生きる意味』『働く意味』を求めて生きています
現在は『意味』を見出しにくい時代と言えます
人々の幸福を中心とした経済
日本では物資的貧困は大多数の人が解消されていると言えます
これは凄く幸福なことですが、当たり前になってしまうと満足度は感じなくなります
哲学者のニーチェも、近代化によって物資的豊かさを獲得した人々が『意味の喪失』という状況に陥ることを予言しています
競争を原動力とする資本主義の問題点は〈置き去りにする人々〉が出てきてしまうことです
これからは『誰も置き去りにしない社会』を作ることが問われる時代になりそうです
これがクラウス・シュワブ氏の訴える『人々の幸福を中心とした経済』と言えます
「経済成長を!」「賃金上昇を!」がテーマとなっていますが、戦後のシステムが古くなってきた以上、新しい目的を考えるべき時になったようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました