定着率が悪いのも良すぎるのも問題
「若手社員がすぐに辞めてしまう」と悩む企業は多いと思います
「最近の若い奴らは・・・」と原因他人論で済ましてしまっては、翌年も同じ愚痴を言う羽目になりますので、まずは原因自分論で考えることから始めます
採用担当者は採用担当者なりに
教育担当者は教育担当者なりに
現場管理職は現場管理職なりに
まずは自分のやり方のどこがまずいのかを考えるべきです
個人的には採用担当と教育研修担当は同じ人が望ましく、現場の長とも密に接することができる人が理想だと思います
「採ったらおしまい」になる可能性があります
そのうえで、若手の定着にどうにもならないことが原因の場合もあります
その場合は若手に拘らずともいいと思います
定着率が良い会社の社長と話したことがあります
「誰も辞めず、高齢化が進んで、SNSを担当できる人間がいない!定年延長などやらず新卒採用したい」とこちらはこちらで別な悩みがありました
私が新卒で入社した会社のグループ企業で倒産した会社がありますが「一番若い社員で43歳で、者の平均年齢は54歳!時代変化についていけなくなったのが原因」とのこと
やはり「各年代がバランスよく在籍しているのが理想」とのようです

今は適性検査で辞める人間がわかる
今度は辞める人間を分析してみましょう
私の会社ではV-CATという、ずっと数字を足し算していく適性検査をしています
足し算ですから誰でもできますが、ようはどこまで集中して計算できるかです
すぐに集中力が途切れてしまう人間は、やはり深く突っ込んで考えられないようです
「今は大変だけど、いずれはこなせるようになるだろう!少し辛抱しよう」
「きついな!やだな!辞めよう!」
かの思考の深さの問題です
思考が続かない人間は「冬は寒いけど、いずれ春になる」とは考えられないようです
「寒いから暖かい場所を探そう」となります
7年間DATAを集め、会社も確信してグループ全社でこの適性検査を導入することにしました
今はいい時代で『すぐ辞める人間が適性検査でわかる時代』になったということです

最初は「ただ足し算して、その結果をAIが分析するんでしょ!そんなことで人間を判断されてたまるか!」と否定的でしたが、ものの見事に定着率と直結するので、今は選考した学生の適性検査の結果は真っ先にみます
「辞めたい」と思うほど嫌なことがあった時、多角的にかつ深く原因を考えられるか、考えられずにすぐに辞めてしまうかの差だと思います
また、続かない人間は『世の中が歪んで見える』ようです
完全な知的障害とまでいかなくても、20%近く境界知能の人達がいます
真面目な人が多く、見た目も普通なのですが、実は朝礼で出した指示が全く理解していない場合もあります
「ケーキを3等分しろ!」というと下図のようになります


「この絵を見ながら書き写して!」と言っても、下図のようにしか書き写せません
一生懸命にやっているつもりで、かなり歪に世の中が見えているといえそうです
知的障害なら国も対処してくれますが、境界知能の人は同じ社会に放り込まれます
見た感じも普通なので、普通に扱われます


『頑張れと言われても頑張れない人達』といえます
普通の人に見えるので「言っただろ!」や「何度言えばわかるんだ!」「わからなかったら聞けよ」など言われ続けて萎えてきてしまいます
境界知能に対する理解と対処は大きく遅れているのが現状です



さらに厄介なのは「生まれたばかりの赤ん坊が最初に経験すべきは酷暑と極寒で生きること」と講習を受けたことがあります
赤ちゃんの仕事は成長することですから、暑くても寝る・寒くても食べるということになります
若者が「辞めるべきではないとわかってはいるが耐えられない」となるのは、赤ん坊の頃より冷暖房の部屋で寝ていたからとなりそうです
Ⅹ世代以上とZ世代では耐久力に大きな差があるといえます
これはZ世代に合わせた環境を創らなければならないということです
作れないのであれば採用しないことです


「うちは○○だから採用が厳しい」は採用担当者レベルが低い
ミラー効果というものがあります
会社の文句ばかり言ってる社員や「辞めたい」が口癖の先輩社員が多いと、ミラー効果でモラルが伝染してしまいます
出来れば若手社員とは引き離した方がいい社員です
こういう社員を採用する採用担当者も問題です
「うちは業界的に人気が無いから」
「うちは田舎にあるから」
「うちは小さい会社だから」
「いい人材が採れない」という採用担当者は多いですが、どんなに不人気な業種でも、どんなに田舎の零細企業でも、応募者がたくさん来る企業はあります
わが家の長男が大学四年生で就職活動真っただ中ですが、下図のように4分類してみると
①志望度が高く、行ってみたら本当に素晴らしい会社だった
②対して気に留めてなかったが、行ったらいい会社だった
③志望度が高かったが、行ったら失望した
④思った通りロクな会社じゃなかった
にきれいに分かれます


「全然考えても見てなかった会社なんだけどさ、行ったらいい会社で、OBもすごく生き生き働いてるんだよ!」とさせる採用担当者でないと『どこも受からなかった人材を受け入れる採用』になりかねません
「採用は営業よりキツイ競争の職種」という中小企業の経営者は多いです
ブランド力のある大企業であれば「来た人材を振り落とす採用」でいいですが、中小企業は人材の奪い合いです
『企業は人という細胞で出来ている』ので、いい人材が定期的に採用できてる会社と、ハズレ人材の受け皿になっている会社では長い年月で大きな差が開きます
腕のいい営業マンが「どれだけ顧客を引き付けるか」ならば、腕のいい採用担当者は「どれだけ真剣に志望させるか」になります
採用力は必ずしも企業規模とは比例しません
嘆く前に採用担当者の人選も重要です
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました

