ドラえもん戦略
身の回りの『生きる為になくてはならないもの』を見渡してみれば1割もないことに気づきます
私は営業企画部という部署で販促・宣伝の仕事をしていたので『物の売れるしくみ』は常に考えていた時期がありました
テレビを見れば「これいいな」「あったらいいな」という心理状態に人々を誘導して購入させます
テレビが廃れてもスマホから流れてきます
資本主義は競争の原理で動いており「他社より良いモノを作ろう!」「他社より良いサービスを提案しよう」と日々競い合っているので、欲しいものが次から次へ登場してきます
「この商品って所有して何かいいことあるんですかね?」と販促時代に聞いたことありますが「四の五の言わず買いたくなるようにするのが我々の仕事だ」と言われます
『こんなものいいな!あったらいいな!』というドラえもんの歌のような世界が資本主義です
資本主義はそのような商品を私達消費者に買わせようという非常に巧みな仕組みを作り続けています

怠けるは生存戦略
決して不要なものばかり押し付けているわけではありません
その昔前にぶら下がり健康機というものが爆発的にヒットしたそうです

ぶら下がり健康器は1970年後半にテレビショッピングなどで「ただ1分ぶらさがっているだけで痩せることができ、健康にもいい」という「楽して痩せて健康にもなる」というのがヒットの要因です
1日1分ぶら下がるだけで二の腕やお腹が引き締まり、スタイルがよくなるというもので、しっかりとしたエビデンスもありました
二の腕がたるんでぷよぷよ、お腹辺りがぶよぶよ、猫背、腰痛などなど多くの健康効果がありました
ぶら下がればお腹は縦方向にのび、腹筋の深層部である体幹を刺激し 腹筋を自然と鍛え、なおかつお腹の脂肪にも効き、広背筋と背骨が伸ばされ、背筋が伸び、 正しい姿勢で立つと自然とお腹が凹むもので、 ぶら下がりを1週間続けるだけでお腹が凹んできたことが実感できたそうです
ただすぐにすたれたそうで、今はロングコートなどを掛けるのに使われているそうです
「だった1分間で本当に効果があるのになぜ?」と思いますが『極力無駄なことはせず、エネルギーを節約するという生存戦略の為の本能』が人には備わっているそうです
「ランニング・筋トレを1年間続けられる人は4%」というのもうなずけます
「1分間でも苦しいことは続かない」のです
ダイエットや健康は「このサプリを飲むだけ」の方が売れるし、定期購入でランニングコストにもなりますが「楽でいい」ということのようです
「本当に効果があるが少しきついもの」より「効果はさほどないが楽なもの」を人は選ぶようです
故に宣伝広告のスタッフは「少しでもきついものは売れない」という消費者心理を重視しています
「この飽食の時代にエネルギーの節約なんて必要ないだろ!むしろ逆だ!」と思うかもしれませんが『本来人は怠け者』ということです

消費者心理で重要な『楽なもの』
ほうきやちり取りで掃除をするなら掃除機!掃除機も面倒だからルンバ
洗濯機も乾燥までしてくれる全自動がありがたい
風呂の掃除は擦らずスプレーして流すだけ
トイレ掃除もこすらず泡スプレーで流すだけ
料理も電子レンジで温まるだけでプロの味が作れる
TSUTAYAにDVD借りに行ったり返すのが面倒だからネットフリックス
本は読みたいけど苦痛だからオーディブルで聞く読書
とにかく『楽な方向』に進むのが売れる秘訣です
ドラえもんはいなくとも、資本主義の競争社会が次々に「こんなこといいな、できたらいいな」を実現してくれています
消費する立場である以上、企業の戦略を理解して節度ある生活を心掛けることが大切だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました