摺り込まれた労働への美意識
「なぜブラック労働が生まれるのか」という講義を受けたことがあります
もちろん様々な要因がありますが『最大の要因は勤勉に対する美意識』と言われ、驚きます
中世の頃より
「国家の支配者層が一番注力するのは、いかに国民の財布からお金を搾取するか」と
「富裕層は貧困層の余暇時間が増えるのを非常に嫌がる」
という性質があり『労働は美徳・怠惰は悪』は古来より私たち庶民に植え付けられていた思考です
そういえば私がまだ社会人として駆け出しの頃、社長が「週休3日を目指したい」と主張したことがあります
私は大学生の新卒採用の仕事だったので「採用がやりやすくなる」と喜びましたが、本部長などは「そんなのにつられて入社する学生は勤勉性がなく、ろくな奴じゃない」と嫌な顔をしていました
当時は昭和の価値観が崩れはじめ、平成の価値観に少しづつ変わり始めた時代です
令和の今この本部長たちの発言を聞けば「昭和か!!」と笑い話になりますが、平成初期はまだまだ昭和の価値観の方が強かった時代でした
これからは余暇時間を増やすこと
「睡眠時間の少ない国は一人当たりのGDPが低い」
「労働時間の長い国は一人当たりのGDPが低い」
という事実もあります
日本はこの両方があてはまり、余暇時間が少ないのが問題です
睡眠時間が短いと脳に老廃物が溜まり、思考力が落ちますから考える力が落ちていきます
脳のエネルギー不足で「労働とは?」「幸福とは?」「人生とは?」などはあまり考える時間がありません
労働はお金だけでなく、承認欲求や集団欲なども満たしてくれますので、決してお金の為だけに働いてくれてるわけではありません
私も駆け出しの管理職の頃は「生活の中心に仕事を置くこと」などといっていましたので「労働は美徳」が摺り込まれていたと思います
ニートの存在などは認めていなかったし、挫折して辞めていく人は社会人不適合などと考えていた時代もあります
採用⇔教育⇔営業を行ったり来たりの時代も終わり、採用⇒教育に専念するようになったので「労働は美徳だと摺り込まれて生きてきた」ということに気づき始めました
やはり国も経営者も馬車馬のように勤勉な人間を求めます
余暇を増やして能動的趣味を増やす
趣味には受動的な趣味と能動的な趣味の2種類があるそうです
受動的趣味は、スポーツ観戦したり、音楽を聴いたり、絵を鑑賞したりの誰かがやっているものを見て楽しむこと
能動的趣味は実際に自分がスポーツしたり、楽器を弾いたり、絵を描いたりすること
人生の充実感は圧倒的に能動的な趣味をすることで、これは時間がないとできません
とにかく働き詰めの日本人は、リタイアすると男性で特に無趣味な故に萎んでいく人が多いです
日本に足りないのは『余暇時間』です
昭和のテーマが戦後の復興と経済成長で、その流れから『勤勉であるべき』という考え方が生まれたのなら、令和は余暇時間を増やし『人生は楽しくあるべき』という方向にシフトすべきです
開国したら周りを西洋列強に囲まれていた明治の日本は『強い日本』を目指しました
戦後、敗戦から立ち直るために昭和の日本は『豊かな日本』を目指しました
これからの令和の日本は、堺屋太一さんが言う通り『楽しい日本』を目指すべきだと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました