「仕事が全て」からの脱却
私も営業部長時代までは「生活の中心に仕事をおけ」と言っていました
社会人になったころはモーレツに働く昭和入社が大半だったので「仕事が人生のほとんどのウエイトを占める」と思っていました
「会社からの転勤辞令で全国どこでも行く」
「目標数字は絶対」
「家族の都合も実家の都合も二の次」
「有休は病気した時にとるもの」
周りがそんな姿勢なので新人だった私も当然それに染まります
「営業ノルマがこなせていない」と休日出勤する先輩社員を尊敬のまなざしで見ていました
日本の企業は『会社が全て』という人ばかりだったように思います
「支店が目標数字を追い込んでる時に子供の運動会に行きたい?」と支店長に言われている先輩社員を見て、会社の仕事>家庭の行事なんだと摺り込まれます
前回に引き続き「脳」の話題ですが「仕事中心の脳」を継続した怖さを考えてみます
趣味が多いことは脳の健康につながる
「仕事中毒は脳が老化しやすい」と脳科学者の西 剛志さんは言います
中高年で「趣味はなんですか」と問われたときに「無趣味」と答える人が多いですが、この状態が長年にわたって続くと将来的に認知症の発症につながる危険性があるそうです
言われてみると昭和入社の男性は定年するとすごく老け込む人がいますね
脳のピークは何歳なのか見てみると、年齢を重ねるごとに次のような傾向になる人がいます
●周りが気にならなくなる
●記憶が曖昧になる
●同じ主張をくり返す
●感情的になる
こうした行動をついついとってしまうのは脳の老化現象の一種であり、これを「老人脳」と呼ぶらしいです
なんか「仕事に多くの比重を置く」男性は怖いですね
「脳の老化」というと「自分には関係ない」と思う人もいるでしょうが、想像するよりずっと早くからそれは始まっていると言います
私たちの脳は30代から少しずつ萎縮が始まっており、なんの対策もせずに過ごしていると60代半ばくらいにはMRI画像ではっきりわかるくらいの脳の萎縮が起きてしまうそうです
具体的に能力別にピーク年齢を見ると
◎情報処理能力・・・・・18歳
◎人の名前を覚える力・・22歳
◎顔を覚える力・・・・・32歳
◎集中力・・・・・・・・43歳
◎相手の気持ちを読む力・48歳
◎語彙力・・・・・・・・67歳 だそうです
「大人数のアイドルグループのメンバーの顔が全く覚えられなくなった」なんてことは30代半ば以降の人にとっては自然の流れなのです
ですが、語彙力のように50代以降でも伸びていく能力もあり、日々の習慣(思考×行動)の積み重ねにより「老人脳」を遠ざけることはできると言います
趣味は人生を楽しむ要素というだけでなく「認知症の予防効果」もあることがわかっており、趣味の数が多い人ほど認知症を発症しにくいというデータがあります
趣味が多い人は脳が老化しにくいのです
仕事を引退して多くの自分の時間がもてるようになる65歳以上の方は「無趣味です」というのは非常に危うい状態かもしれません
前述の研究では、男性の場合は趣味が5つ以上ある人は認知症発症が一番少なく、女性は趣味が4つの人が一番発症が少なくなっているようです
趣味が5つとは学生時代の主要5科目みたいですね
趣味が多いと認知症になりにくい理、楽しいことに打ち込んでいると「打ち消し効果」でストレスが解消されるからだそうです
ストレスは認知症やうつのリスクを高めることがわかっていますが、趣味に打ち込む人はストレスを感じにくいため脳が老化しにくいのです
ある調査によると『生きがいを感じるトップ3』は
①趣味に熱中しているとき
②子どもや家族、友人と接しているとき
③美味しいものを食べているとき だそうです
趣味に打ち込んでいる時間に生きがいを感じる人は世界的にも多く、そのことが脳の認知機能にいい影響を及ぼしています
趣味は数が多い人の方が認知症が少ないのは
①快感を感じる回数が多いほどストレスが解消される
②社会との接点を趣味でつくっている
③新しいことに挑戦している などの理由があると考えられています
確かにシニアを見てみると趣味が多い人はいきいきしている印象です
「長生きしたけりゃ趣味をたくさん持つ」が人生100年時代の秘訣なのかもしれません
多趣味は脳が老化しない
仕事人間だった場合「趣味をどう見つけたらよいのかわからない」という人もいます
そんな人のために西さんは「西式 やりたくなる趣味を見つける方法」を解説しています
趣味を見つけるときに大切なのは「心がフフッと喜ぶこと」を選ぶことで、小さな感情の動きの中に自分に合った趣味が隠されているそうです
具体的な方法は
① 下記にある「心がフフッと喜ぶ7分野(下記参照)」をチェックする
② その中から心が動くものを探す
③ 心が動いたものをすべて手帳などに書き出す
④ 「自然系」で「山」に心が動いた場合、山に登る、山の写真を見る、登山グッズの店に行ってみるなど、いろいろ思い浮かぶことがあり、 それをすべて手帳などに書き出す
⑤ 書き出したことの中から自分がやってみたいと思う順に番号を付ける
⑥ 番号の若い順に行動に移していく
<心がフフッと喜ぶ7分野>
①自然系=山、海、水、植物、動物、景色、宇宙など
②運動系=スポーツ、ダンス、ストレッチ、アウトドアなど
③音楽系=クラシック、POP、ジャズ、演奏 など
④言葉系=会話、子供、語学、本、手紙、文学など
⑤鑑賞系=芸術、コンサート、映画、演劇、博物館など
⑥美容系=ファッション、髪型、おしゃれ、マッサージなど
⑦文化系=歴史、伝統、職人技、お寺・神社など
あとは実際にやってみて、本当に合うかどうかを判断していくと自分の趣味が決まっていきます
「生きがいはなんですか?」 そう聞かれて即答できた人は『脳の認知機能が衰えにくい人』といえます
アメリカで「生きがいと脳の関連性」を調べた研究があり
250人の高齢者を10年にわたり調査し亡くなったときに脳を解剖すると、生前に生きがいを持っている人と持っていない人で明らかな違いが判明したそうです
生きがいがある人は『脳が萎縮していても認知機能が高い』
「生きがい」があるだけで脳は大きく変化するということです
反対に生きがいがないと『脳の機能は下がってしまう』可能性があります
外に出ない、運動もしない、さらに生きる目標もないとなると脳にとってはマイナスが幾重にも重なってしまい認知症のリスクも当然高まるようです
今月は「旅行に行く」とか「ライブに行く」とか「この仕事が終わったらケーキを食べよう」などは脳科学的には正しい行動で、老人脳を改善したり予防できる効果が期待できるそうです
「強い日本」⇒「豊かな日本」の次にくるのは「楽しい日本」と以前語ったことがあります
日本の未来は暗いと語る人は多いですが、治安が良く、インフラも整い、食べ物も安くて美味しい日本はまだ続くと思います
長くなる人生の時代「日本で楽しく生きる」がこれからのライフスタイルなのかもしれません
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました