賃上げいいから雇用は優先して!
世界的物価高&コロナでの打撃&円安という苦境に中でも多くの企業が『賃金アップ』を模索しています
利益が苦しい状況下でも給料をあげようと試行錯誤している企業は多いです
長年、労働組合の連合で労使関係を話し合ってきたベテラン社員が話をしてくれました
「バブルがはじけて世の中はリストラの嵐だった時期があり、その時には多くの企業の労働組合が『賃上げよりとにかく雇用の安定』という意見が大多数だった」とのことです
サラリーマン全体では「成長して賃金アップよりとにかく会社にいられるようにしてほしい」という声が多く労使で雇用安定を最優先にしてきたという歴史があるそうです
30年以上『成長より雇用』を続けた結果
①産業の世界的競争力の低下
②成長力の低下
③非正規社員の増加
④就職氷河期世代という若者の犠牲
⑤賃金の横ばい
を招いたそうです
労働組合の仕事は従業員の望む職場づくりなので「あの時日本のサラリーマンは『賃金は増えなくていいからとにかく雇用を安定させて』と言ってたじゃないか!」「何を今さら賃金アップだ」と言いたいようです
学んで変化して成長する
諸外国にも経済危機は当然ありますが国の指導者たちは『衰退産業から成長産業へ人を流動させる』べくリスキニング=学び直しを官民一体で実行しています
先進国は米国以外皆、少子高齢化ですが『学んで変化して成長』してきています
日本の若い世代が「なぜ会社の中高年は学びに時間を割かないんだ?」と不思議がりますが、このような雇用優先の歴史が日本にはあったのです
長く労使を見てきたベテランの方は「現状を変えるには何をすべきか中高年はよくわかっているが会社依存の思考は変えられない」と断言します
「露天風呂につかっていたら、外はどんどん寒くなり、お湯もだんだんぬるくなり『上がらなきゃ』と思いつつも上がれないでいる感じ」
「ドイツでは50代でもデジタル系を学び直しているよ!学ぶのに年齢は関係ないのに」
「変われない者は置き去りにして変わろうとするもので新しい仕組みをつくるべきだ」と言います
日本でも日立などは4億円投入してリスニングの仕組みを作っていますし、中小企業でも取り組んでいる会社は多いです
「日本のサラリーマンの学習時間は1日1人平均6分」とバカにされていますが学んでいる人は非常に多くの時間を割いて学んでいます
人づくりは国づくり
リスキニングなどと語ってますが私も企業教育の重要性をわかっていませんでした
バブルが崩壊し長く経済が低迷した時に世間では「営業力強化」「商品力アップ」「サービスの工夫」などが叫ばれている中、私の会社の社長が打ち出した策は『教育の質と量の大幅拡大』でした
教育企画部が新設され、研修課・インストラクター課・教育企画課ができ、私は教育企画課で新卒の教育担当の異動命令を受けます
商品開発系の部署の方々は「今お金を使うべきは売れる商品開発じゃないの?」と言われ
企画系には「もっと画期的なサービスや宣伝の強化にお金を使うべきでしょ」と言われ
営業系には「業績のいい社員のインセンティブにお金をまわすべき」と言われます
教育企画部は「苦しい状況下に建てられた砂の城」のような見られ方をしていました
私自身、教育に携わりながらあまり重要性を理解していなかったと思います
教育の重要性が理解できたのは新潟県長岡市の支店長になった時に『米百俵の精神』を学んだ時です
戊辰戦争に敗れ焼け野原になった長岡藩は三条藩から百俵の米を支援されますが時の大惨事小林寅三郎は「この米を売って学校を作り、優れた人材を創る」と主張します
「庶民の飢えている姿が見えないのか!米を出せ!」と藩主たちに詰め寄られても断じて譲りませんでした
『国づくりは人づくりから』という思想の元、優秀な人材が次々に輩出されていきます
教育はすぐに成果として表れるものではありませんので、営業・商品・サービス・宣伝に力を入れた方が即効性はありますが、〇十年後に大きな変化となって表れてきます
米をすぐに分配する=とにかく雇用を最優先する
学校を作る=リスキニング・学び直しを優先する
とダブって見えたりします
30年以上前に多くの顔色を見て決めた方向性のせいで今になって方向転換を余儀なくされているのが現在の日本のようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました