日米で違う解雇手法
前回に引き続き、日本の雇用とプラスしてこれからのキャリアの築き方について述べたいと思います
前回も話しましたが『日本は従業員を簡単に解雇できない』のです
コロナウイルス蔓延で米国などの失業率はリーマンショックの10%を越える16%でした
ただし『○○ショック』というものは一時的なもので、回復すると元の忙しさに戻るのは皆わかってます
米国やカナダは『レイオフ』という『再雇用を条件とした一時的な解雇』を行います
「今は客がいないから閉めるけど、元に戻ったらまた雇用するね」と言う感じです
対して日本は『休業』で『雇用を維持した状態で休業する』というカタチをとります
「米国ってコロナ感染に対する規制が緩いよね!」と思った方も多かったと思いますが「早く消費を再開させて給料を支給させねば」という意識が強いと思います
日本で打撃を受けたのが非正規社員で、特にアルバイトです
パート、派遣、契約社員がそれに続きます
最近の大学生は自分で学費と生活費をアルバイトで稼ぎながら大学を出る学生も多いです
途中で退学する大学生が過去最高に多かったことは非常に残念です
整理解雇のハードルが高い日本
日本の企業が業績悪化等でやむを得ず整理解雇を行う場合のハードルは諸外国と比べ非常に高いです
整理解雇には主に4つの要件があります
①人員整理の必要性・・業績が悪化して雇うことが無理な理由
②解雇回避努力義務の履行・・固定費の見直し、役員報酬などのカット、ボーナスもカットするなどの努力をできうる限りしたのか
③被解雇者選定の合理性・・整理解雇する人の選定は合理的に行っているか
④解雇手続きの妥当性・・ちゃんと話し合いをしたかなどです
諸外国のように
「営業成績が悪く、給料分稼げてない」
「スキルが古く、新しいスキルの人と替えなければならない」
などは認められません
こんな中で「高校出て18歳の従業員を75歳まで面倒をみる」というのはなかなか重い負担です
加えて社会は加速度的に変化していくので、企業の寿命も年々短くなっています
組織内キャリアから自立型キャリアへ
企業ではキャリアカウンセリングを実施しているところも多くなってきました
X世代の方は「キャリア」と言われてもピンとこない人が多いと思います
入社した頃にキャリアという言葉自体、社内で聞くことが無かったからです
「キャリア?縁あって入社した会社で懸命に働き、最後まで勤めあげることでしょ」と答える人も多いと思います
伝統的キャリアは
・キャリア=組織
・価値観は昇進・昇給
・姿勢は組織的コミュットメント
・アイデンティティは組織内で尊敬されているか・自分は何をすべきか
ということになります
Y世代からキャリアが多様化してきました
プロティアンキャリアでは
・キャリア=個人
・価値観は自由・成長
・姿勢は仕事満足感+専門的コミュットメント
・アイデンティティは自分を尊敬できるか・自分は何をしたいか
が重視されるようになってきました
「自分らしく働くこと」と「自分勝手に働くこと」の違いもよくわかってます
「自分が望んでいた働き方ができない」
「自分が成長できない」
と感じると新天地に移ります
『組織内のキャリア』から『自立型のキャリア』の転換期に来ています
Z世代とキャリアカウンセリングしていても「ここでは○○を学んで、次は■■で○○を学びたい」と「この会社はいずれ出ますよ!」ということをハッキリ伝えてくる若い社員は多いです
キャリア=組織の世代からすると「忠誠心が無い」「腰が軽い」「裏切者」と見えたりします
キャリア=個人の世代にとって大事なことは『自己成長』であり『理想の自分の完成』を求めて歩んでいます
日本の労働法は確かに雇用をしっかり守ってくれるものですが、自立型のキャリアの世代が増えてくると意味をもたなくなると思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました