有能人事部長の悔やむこと
「管理職ともなれば日々の業務に忙殺されることなく、先を見て思考を巡らせよ」などと言われますが、なかなか10年20年先を考えながら仕事をすることは難しいようです
元人事部長が65歳で定年となり二人送別会をした時の談話です
60歳で部長からは降りてスペシャリスト職として過ごしていましたが、非常に悔いの残る人事部時代だったと言います
「日本は若者を犠牲にして団塊世代の就労を守った」
「これは非常に罪が深い」と言います
ここでの若者は就職氷河期の世代を指します
多くの企業ではこの世代が極端に薄く、20代と40代後半以降の世代しかいない会社もあります
これを『二世代同居型企業』と呼ぶようです
各世代を定期的に新卒採用していくので『バランスの良い進化』ができたのが大企業の強みでした
バブル経済崩壊後から10年ほど経つと日本経済は本格的に金属疲労したような状態になり、金融不安、ITバブル崩壊によりさらに景気の悪化が進みました
就職氷河期世代とは、社会的に就職難となった時期で1990年代初頭〜2000年代半ばを指し、1970年〜1984年に生まれた世代が大学を卒業して就職活動時期に差し掛かった頃です
私も当てはまりますが90年代はまだまだ経済は元気でしたので、自分の会社の大卒採用も120~180人と普通に採用しているイメージでした
2000年代の就職氷河期は比べ物にならないくらい深刻です
大企業に就職していれば、課長・部長で活躍していたはずですが「行きたい企業には行けず」「つきたい職種につけず」「本来昇進できるはずの役職に就けず」の世代と言えます
ボリュームゾーンは50代だった
元人事部長の話では、20代の社員達から「ITシステムを導入して欲しい」という声が上がったそうです
その時圧倒的ボリュームゾーンの50代の社員から猛反発を食らったそうです
多分本音の理由は「定年まで安泰に過ごしたい!余計なことをしないでくれ」の反発だと言います
あの時、就職氷河期世代が多くいて若手社員と連動していれば、50代は適応に苦労しただろうが仕事は非常にスムーズになったと悔やみます
私も同じで、営業部長時代に若手社員より営業の手法の大幅改善案を提案されましたが「実績を上げてるのは我々だ!我々に合わせるべき」と50代の社員に反対され導入しませんでした
「お互い三流のリーダーだったね」と猛省します
#50代
#男性
#大卒
#管理職
この属性を守るために若手を犠牲にした時代と言えます
好きな仕事には就けず
人件費が重くのしかかってる状態の会社は人を大切にせず
この世代の若者は仕事に情熱を持ちずらかっただろうと思います
「入社しても3年持たない」
「ニートが多い」
「親にパラサイトした生活をしてる」
すぐ辞める・ニート・パラサイトシングル・・・こんな言葉も生まれます
団塊の世代は「最近の若者はだらしない!」と口を揃えて言います
これもすべて「若者を犠牲にして50代を守った結果」が今の日本です
「日本人は良くも悪くもウエット、欧米は良くも悪くもドライ」
「給料高く、環境に適応できない世代は切り捨てて、給料低く環境適応力のある新しい世代に切り替える」ということが出来なかったツケが廻ってきているようです
若者を犠牲にする国に未来はない
自分のいた会社はどうだったか・・・・
・降職基準を設け自分たちにも役職が廻ってきた
・新卒の定期採用はしっかりしていた
・ある程度年功序列である程度実力主義のバランスの良さ
新卒で入った会社はまずまずでした
「降職なんてひどいシステムだ!」
「企業に悲劇が起きるぞ!」
と組合を介して抗議する団塊世代に会社は聴く耳を持ちませんでした
社内的には評価は悪い降職システムですが、外部の取引先からは「しっかり世代交代ができていて安心できる」という評価でした
元人事部長も「周りの同年代は『子供が大学生』『住宅ローンがある』『親の介護もお金が掛かる』『妻は専業主婦』で、彼らの生活を守らなきゃ!という想いが強かった」と言います
それでも「若手に役職を譲るために降職し、多すぎる賃金は減らすべきだったし、きちんと適性の人数を採用すべきだった」と悔やんでいました
「中小企業はその必要はないけど、大企業の50代は明らかにもらいすぎ!彼ら一人の給与で新入社員が3人雇える」とも付け加えていました
若者を犠牲にして成り立つ国に未来はないと言えます
日本の組織のウエットな運営は良いものと信じていましたが、そこには多くの犠牲者がいたということのようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました