プライドは満足させにくい時代
定年退職と言うと長きにわたるサラリーマン人生の締めくくりの一大イベントでした
「最後は華々しく敬意をもって見送ろう!」という有終の美が常識でした
昭和入社の社員の定年退職というと新入社員の私も送別会に駆り出され、とにかく多くの人を集めて盛大に行う祭りのようでした
プライドを満足させての幕引きと言えます
経済が低迷し、役職も不足しだして大企業では『降職』『出向』なども増え
「あの人最後まで部長でいられたね」など珍しがられたりします
定年退職の送別会もごく親しい人たちの集まりに変わっていきました
経済の長期に及ぶ低迷で支店も増えず、定期採用で新卒社員は毎年入社してくるので、どうしても役職は不足し降職は仕方がありませんでした
定期採用を辞めれば〈平均年齢は上がり〉〈社員の年代層は偏る〉ことになります
「降職などけしからん」と労働組合の集会では憤慨する社員も多くいましたが、労働組合専従は沈黙でした
私も降職が無ければ支店長にはなれませんでしたので、降職が導入されたことは追い風だったのは事実です
プライドを満足させての定年退職は少なくなってきたといえます
年功序列で誰でも役職が伸びて終わる時代ではないのです
精神の満足が重要な男性
現実面の大きい女性に対して、男性は精神面が大きいと言われています
長い社会人人生で上がるに上がったプライドを満足させる引き際には難しい時代になってきました
「役職がなくなるなら続けたくない」と言っても、家族から「定年延長して欲しい」と言われ、若い世代のようにFIREの考え方も準備もない・・・
「高い役職のまま多くの部下に囲まれ惜しまれての引退」「その後は悠々自適なリタイア生活」という想い描いていた幕引きとは違ってくることが多くなります
とある大企業の部長さんは偶然にあった時「かつての部下も取引先も、お中元・お歳暮・年賀状がピタッと止まり、誰も我が家に顔を出さなくなった!」と憤慨していました
『ビジネスは利害が中心』『皆、あなたの役職と付き合っていたんです』と言いたいですが「皆、あんなに薄情だとは思わなかった!長きにわたり会社に尽くしてきたのに!」と非常に落胆しています
聞けば趣味もなく、仕事外の友人もいない
私の会社でも「定年退職を会社は引き留めてこなかった!」と憤慨する人もいました
「残留の意志は伝えなかったんですか?」と聞くと「こちらから言うものではないだろ!」と言われ返す言葉が見つかりませんでした
笑い事ではなく昭和入社に多い現状です
「これだけ長い間、身を粉にして会社に尽くしてきたのに扱いがひどすぎる!」と言う事なのでしょうが、その〈扱い〉は個人の勝手な解釈であり、会社は社内雇用ルールによって運用されています
高い意識の継続が落胆を生む
社会は『相場』で動いてます
人手不足が深刻な企業であれば定年延長&役職延長になりますが〈代わりがいくらでもいる〉〈次の世代に役職を与えたい〉大企業では会社側が積極的に定年延長を言い出すことは少ないと思います
平成になると週休2日も定着し〈休日は休日で自分の時間を楽しむ〉社員が増えましたが、昭和入社世代は〈生活の中心に仕事を置く〉〈会社が全て〉という意識高い系の社員が非常に多く、企業には都合が良かったのですが〈会社を辞めると抜け殻のようになる〉人も多いです
対して無為自然に生きてきた人は、趣味もあり・一人遊びも上手く・小さな生きがいを多く持っています
意識高い系の人は「会社から出される=生きがいを奪われる」に落胆しているようですが、リタイヤ生活まで面倒をみる会社はありません
定年というゴールが見えてきたら『無為自然派への転換』を意識しだした方がいいのではないでしょうか?
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました