学生が思うより重く見ている新卒採用
新卒で入社した会社で採用をやっていた頃「新卒採用は3億円の買い物」と役員に言われたことがあります
当時は終身雇用&年功序列が当たり前だったので、生涯賃金・退職金・年金企業負担分・企業年金・教育研修費・交通費・赴任費用などなどいろいろ含めると一人採用し、定年まで面倒をみると大卒はそのくらい平均でかかるということです
当然それ以上の利益を出してもらわないと困るわけです
新卒採用の場合、単なる補充ではないので『人材の先行投資』になります
嫌な言い方をすれば「海のものとも山のものともわからない」「どこの馬の骨かもわからない」のです
履歴書でだいたいの経歴を観て
面接で人物像を観て
適性検査で隠された人物像を観て
一般教養テストで社会的教養量を観て
小論文で言語表現力を観ます
「一人選考に送るとえらい仕事量になる!」といつも思っていました
ただ、企業からすると「それでも情報不足」と感じているようです
面接では不十分な学生情報
「面接は外面しかわからない!内面が知りたい」という面接官は多いです
人には社会面とごく親しい人にしか見せない面があります
2重人格ではありません!2面性です
「会社に行く時はスーツとネクタイに着替える」
「外出の時は化粧をする」
というレベルのものです
最近は個人の発信し続けているSNSをまとめてくれるサービス会社もあります
「少し前はこんな金髪だったんだ!」
「バイト先の批判してるぞ!」
「こういう社会観なのか」
「人への攻撃が辛辣だな」
このようなことがまとめられてきます
私などは「若木の至りでしょ、若いうちはこんなものだ」と思いますが、大真面目に知りたがる採用担当者もいます
私が採用責任者のうちは「さほど欲しい情報ではない」のでその会社とは契約するつもりはありません
ただ、以前の会社で面接でよく組む営業課長は「絶対に必要な情報!」と主張し続けていました
かなりSNS=面接では出さない素の顔を知りたがる採用担当者も多いと思います
採用の責任者が「導入したい」と決めれば見なくていい一面も見られます
学生はSNSの発信に用心した方がいいと思います
学生は素材の良さをアピールする
料理にたとえれば中途採用=キャリア採用は完成した料理を吟味するようなものです
対して新卒採用は素材の良さをアピールすることが大切です
「すごくいいカボチャだけどうちはラーメン屋だからいらない」
「うちはイタリアンだけど、素材として面白いからカボチャグラタンでも作ってみるか」
『素材として面白いから仕入れてみようか!』というのが新卒採用です
完成した料理を求めるのがキャリア採用=中途採用です
個人的にはキャリア採用の方が「前の職場ではどんな人物だったのか?」が知りたいです
これから調理する素材=新卒の学生はとりたてB面を知ろうとは思いません
「男子三日会わざらば刮目して見よ」という言葉がありますが、社会に出ると「見習いで毎日が大変だ」と新入社員がぼやく通り、日に日に成長していきます
A面もB面も上書きを重ね、あっという間に別物になります
学生でも一部危険思想の持ち主はいるのかもしれませんが、新卒採用は素材の仕入れと考えて「調理して完成品にするのが採用と教育」と考えるべきだと思います
故に学生は選考時には『素材としての良さをアピール』すべきだと思います
ただ、学生が考えているより企業は高い買い物をするという意識なので、SNSの発信には注意した方がいいと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました