一騎当千の人材を揃える
古代中国で漢と楚が戦っていた時代、楚の彭城が56万人の漢軍に落とされます
斉に遠征していた楚王の項羽は戦力を割けず、仕方なく精鋭3万で彭城奪還に向かいます
文武に長けた項羽の指揮の元、楚軍3万は56万の漢軍を完膚なきまでに叩き敗走させます
漢の名将韓信も1万5千の兵力で20万の趙軍を破っています
有名な『背水の陣』です
優秀な指揮官に優秀な兵で圧倒的多数の敵を破った例は歴史上多くあります
一騎当千=一人の騎兵で千人もの敵を相手にできる 人材のことを言います
これなら少数精鋭で効率の良い組織になります
少数精鋭に絞って失敗した例もあります
中国統一を目の前にした秦の王である政は最後の楚攻略の為2人の将軍に「何人の兵が必要か?」尋ねます
王翦将軍は「60万必要」と答え
李信将軍は「20万」と答えます
現代風に言えば20万と60万では人件費が大きく違います
秦王は李信将軍を指名しますが、夜襲にあい無残に敗走となります
結局は王翦将軍が60万を率いて楚を攻略します
「数が少ない方が効率が良く有利」ではないということです
イーロンマスク社員大量解雇
イーロンマスクのTwitter社の大量解雇が話題になっています
話題になってるのは日本だけで海外ではよくある合理的な判断です
イーロンマスクは個人でTwitter社を6兆4千億円で買収していますので大きなリスクをもってCEOになっています
7500人の社員の半数3700人を解雇
その後も「激務をする気がないなら去れ」と通達し最終的に2400人になりました
「7500人の組織が2400人になって仕事になるのか?」と感じる人も多いと思います
Twitter社21年の連結最終収益は32億円の赤字です
まず固定費の中で重い人件費が大きく減ります
ただ一般的に経営学では『人件費削減は長期的な利益向上には貢献しない』という分析結果が出ています
「人員削減は長期的に観れば悪手」とされている最大の要因は『残った社員のモチベーションが下がる為』とされています
イーロンマスクの伝記を書いたアーシュリー・バンス氏は「Twitter社の大量解雇を批判する人は彼を見くびっている」と主張します
イーロンマスクは過去X.com(ペイパル)時代に経営方針をめぐる意見の相違があり、幹部グループが社員の大部分を引き連れて会社を去ってしまった経験をしています
その後イーロンマスクに忠実な社員だけが残り継続させています
今回の流れもすべて織り込み済みなのかもしれません
一騎当千の人材の身を引き付ける魅力
イーロンマスクは「テスラ」や「スペースⅩ」だけでなく「ハイパーループ」やロボットの「オプティマス」ニューラリンクの「脳チップ」など様々な事業を手掛けています
人類をアップデートするという壮大なビジョンをもっています
ついていく社員は「自分たちがやっていることが人類や世界にどう貢献し、未来がどうなっていくのか」という明確で誇りの持てるビジョンを掲げています
超優秀なエンジニアであれば「この夢に自分の持つスキルを活用し、この人に人生を掛けてみたい」という気持ちになります
イーロンマスクは『超優秀な人材を雇う天才』といえます
彼は1日8時間働く社員が2人いるより16時間働く社員が1人ほしいという考えで、スペースⅩの先進プロジェクト担当部長は1日16時間働き11人分の仕事をこなしているそうです
「そんなのブラック企業だ」というような社員は必要とせず、壮大なビジョンを実現させたいという志をもった人間しか残らないということです
「社員の半数が辞めても忠実で超優秀な社員が残れば1人で2人分の仕事をするので問題ない」ということです
多くの人間にとって『不協和音』でも、ごく少数の優秀な人材には引き付けられる音がイーロンマスクの存在であり、故に一騎当千の人材を揃えた組織が作れるのだと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました