能力主義で出世させるはわかりやすいが
営業に配属された同期でTOP3が最初に支店長になりました
当時はバブル経済崩壊後の長く暗いトンネルの時代ですから支店など増えない時代です
昇格基準は『営業成績のみ』です
出身校の差別も、好き嫌いもないわかりやすい線引きです
次に私とKという同期が支店長になります
その為に2人の先輩社員が支店長降職になっている非常に世知辛い時代でした
最初に支店長に昇格したTOP3の3年後を見てみると、1人が降職、1人が退職、1人がうつ病で休職でした
『営業マン時代は優秀でエース的存在なのに管理側にまわると力が発揮できない』
という人は多いです
商品作りは天才的だが管理職になったらダメに人
営業はダメだったが裏方にまわったら非常に役立つ人
どこの会社でも見かける事例だと思います
ちなみに長野県にある会社で歩合制を導入しており、成績優秀な営業マンは支店長の何倍も給料をもらっている会社があります
「長は管理するという役割で偉いわけではない」というフラットな発想の社風です
こうなると「長になる」という出世第一主義ではなくなってきます
非常に一人当たりの生産性の高い会社です
この「優秀な社員から出世させる」という発想は「適性がない仕事に就かせ、本人は苦痛で会社は利益を落とす」という状況を生んでいるケースは非常に多いです
よく言われる「名選手・名監督にあらず」です
現場力と管理力はかなり違う
遅れて支店長になったYという同期がいますが、支店長になると取り立てすごい売り上げをつくるわけではないですが非常に安定した運営をしていました
「俺は戦術も、戦法も、戦略も劣るかもしれないが、要領のいい人間に先を越され、下げすまされ、配慮のない上長に踏みつけられる人の心をよく理解している」と話していました
「個人の数値に✖なんかつけちゃだめだよ!せいぜい△で、△つけたら具体的な方法も明示できなきゃだめだよ」などアドバイスされました
長になってからは最も学ぶところの多い同期であったし、またそういう人間をちゃんと長に据える会社もまだ捨てたものではないと感じました
「プレーヤーではイマイチでも監督としては優秀」といえます
現場力と管理力はかなり違うと思います
南カルフォルニア大学教授で教育学者でもあったローレンス・J・ピーターの提唱した『ピーターの法則』というものがあります
⇒能力主義の階層組織の中において、人は自らの能力の極限まで出世する
⇒しかし、能力を有する人材は、昇進することで能力を無能化していく
⇒そして、いずれ組織全体が無能な人材集団と化してしまう
という衝撃的な内容の法則です
「成績がいいから出世させねばならない」は「適材適所から外して能力の発揮できない仕事に就かせる」という事態になりかねません
こんな例を会社で見たことがある人は多いでしょう
会社の昇格も、受験の合否も『数字で計り線を引く』というのが最もわかりやすいのもたしかですが・・・
鼻にぶら下げるのは昇進よりも昇給
それを回避する解決方法は次の3つだと言われています
①昇進させず昇給
②昇進前に訓練
③昇進後に「無能」になった場合一度降格
です
鼻にぶら下げるニンジンは『出世』でなく『お金』ということです
「総理大臣になりたいだけで、なった後は志もビジョンもない人」
「長になるのが目的で、なった後は長のスキルのない人」
などはたくさんいます
「降職するとモチベーションが落ちる」
「後輩が先に出世すると面白くない」
というのは普通の感情だと思いますが『出世=役職』より『稼ぎ=給料』を評価されるようになれば『組織の無能化』は防げるように思います
「出世こそがサラリーマン人生」と摺り込まれ、考え方を変えることが出来なくなってしまった人は仕方ないですが、経済が右肩上がりに伸び続ける時代ではないので組織のピラミッドの維持ができなくなっています
組織のピラミッドは三角形ですが、人口ピラミッドは逆三角形になりつつあるので一致しません
まだ考え方が柔軟な方は「出世こそがサラリーマン人生」ではなく「稼げる能力が一番」と考え方を変えた方がいいと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました