大企業はもはや大樹ではない
「終身雇用崩壊」はよく目にします
現実、大企業では終身雇用は非常に難しいと思います
皆さんの会社が中小企業の場合『新卒入社の採用力』をよく見てください
「うちは毎年高い倍率を勝ち抜いた新入社員が大量に入社してくる」は赤信号
「うちは小さい会社だけど新卒入社が毎年数人入ってくる」は黄色信号
「うちは人事に採用力が無く新卒は入ったり入らなかったりだよ」
「そもそも採用の部署も担当者もいない」なら青信号!
よほどのことが無い限り雇用は安心です
中小企業の社長の中には「縁あって採用した人は最後まで面倒をみる」という昔気質の立派な人も多いです
新卒を厳しい倍率で大量に採用⇒入社後は厳しい同期間の競争⇒出世した人は超優秀という大企業は人材過多になりやすいです
・入社を志望する学生が多い
・採用選考の倍率が高い
・教育・研修が充実している
・採用専属の社員が優秀
という次々に優秀な人材が入社してくる仕組みの怖さを理解した方がいいと思います
『寄らば大樹の陰』は昭和の思想です
もう大企業は大樹ではありません
「うちの会社は万年人不足でやんなっちゃうよ!」の方が長く働く意味では安全です
日本は解雇ができない労働法で強引に終身雇用を維持している状況なだけです
雇用の知識 は知っておいて損はない
「うちの会社は常に人手不足で解雇なんて考える必要はないよ」
という方も解雇について一応知っておいた方がいいと思います
今後、強引なリストラ策を実行する会社が増加してくると予想する人事関係者は多いです
多いのは45歳以上の『早期希望退職金制度』ですが「優秀な人ばかり辞めてしまうのでは?」という声が多いですが、企業はそれも覚悟の上です
「早期退職制度の対象になったら喜んでやめた方がいい!残るとろくなことが無い」とよく聞くようになりました
研究室にいた人が飛び込み営業に回される
技術職でやってきたのに介護に廻された
など残ると畑違いの仕事に廻されるケースが多いようです
組織のピラミッド構造を変えることにかなり会社は真剣だと思った方がいいです
「正社員は解雇されない」と安心はしない方が無難です
人員削減が行われる場合の対象はパート・アルバイトや契約社員などの非正規労働者からはじまり、その後は正社員へと移行します
ただ、過去には不当解雇の判決が下されていることも多く日本は解雇の条件が最も厳しいのは確かです
労働契約法第16条には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と記載されています
日本は簡単に労働者を解雇することはできない仕組みですが、業績が悪化すれば悠長なことは言っていられません
自主退職に追い込む「退職勧奨」がありますが、労働者には応じる義務はありません
そのため、会社はかなり強引な退職勧奨を行使することが多々あるようです
退職勧奨の手法の例として『長時間の面談』・・上司・人事から退職を促され、応じない場合は、徐々に制裁が加えられる=役職の剥奪や降格処分、左遷などです
その時、労働組合は頼りになるのか?
労働組合とは『労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体』(厚生労働省)
労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体です
『労働組合法』という法律があり、会社への交渉力が上がる 労働組合に入っていれば会社に対して交渉力が格段に上がるのは確かです
労働組合法では、労働組合に対し、使用者との間で「労働協約」を締結する権能を認めるとともに、使用者が労働組合及び労働組合員に対して不利益な取扱いをすることなどを「不当労働行為」として禁止しています
社内に労働組合がなければ、外部の一般労組に入会するという手もあります
管理職、非管理職、アルバイト、契約社員でも入会できます
入会すると労組から会社宛に「団体交渉」の申し入れがあり、会社はこれを拒むことはできません
また労働審判で迅速な解決に導く方法もあります
労働審判とは、不当解雇などに代表される労働者と雇用主との間のトラブルを、労働審判官1名と労働審判員2名が審理し、迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする裁判所の手続きのことです
通常の裁判手続きよりもスピーディーに解決することを目的に導入されましたが、労働審判をおこなっても得られるものは給料の5カ月分程度と思っていた方がいいです
裁判費用や弁護士費用を支払えば約半分しか残らないというケースが多いようです
精神的損害が発生した場合は慰謝料請求も可能ですが、認められるためのハードルはかなり高くなります
「うちの会社は関係ないよ」という方も知っておいてください
失職によるキラーストレス
キラーストレスというものがあります
一気に強いストレスが掛かり人を死に至らしめる恐ろしいストレスです
1番多いのが『肉親の死』だそうです
この3年間で同じ会社の母親と二人暮らしの50代男性が、母親の死から1カ月もたたずに亡くなるケースが2件ありました
自殺ではありません
物心ついた時からずっと一緒にいたわけですから相当なショックだと思います
2番目に多いのが『失職』だそうです
突然仕事を失うということはかなりの精神的ダメージを受けるということです
以前、取引先だった京都の会社の総務部長が過剰に「もう終身雇用は終わった」と口にしていました
「○○さんの会社は大丈夫でしょ?」というと
「日本人は長きにわたり終身雇用で飼いならされてきた!失職などしたら耐えられない人が多い」と述べました
現在の終身雇用がいかに危ういかを良く知っており「日本人は個の自立をしなければならない」ともよく語ります
失職に弱すぎる日本のサラリーマンへの警告のように感じます
「会社の為に頑張ってる?自分の人生のために頑張れよ!」
「会社に時間を切り売りするような仕事の仕方をするな!」
など、最初は「何言ってるんだこの人は?」と思っていましたが、最近は「奥が深い人だな」と思えるようになりました
リストラが起こる前兆として『人事部が忙しくなる』のでよく見ておいてください
私の会社の場合も、会議室を予約しようと総務部へ行くと『新入社員が入ってくる時期』でもなく『転勤シーズン』でもないのに人事部の会議がやたらと多いのが目につきました
『新規事業の立ち上げ』などの場合もありますが、人事部の同期がそっけなくなったり、人事の残業が多くなったりします
会社初の『希望退職者550人募集』が3ヵ月後に発表されました
人事部・総務部辺りが最初に動き始めます
解雇というと暗い話になってしまい申し訳なく思いますが、一応知識として知っておいていただければと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました