報道に踊らされない眼をもつ
私はX世代なので新入社員時代はスマホもインターネットもなく、主な情報源は新聞とテレビでした
入社間もない頃、上長に「報道は『起こった現象』と『データ』のみ観ろ!記者の所感や善悪の決めつけは取り除け!」と言われたことがあります
「マスコミに踊らされるな」
「正しい見方を身に着けないと正しい判断ができない」
先輩社員はヒヨコ社員に口をすっぱくして『社会の見方』を叩きこんできます
学生の頃は
CM見れば「これ欲しい」
事件報道見て「わあ、大変だ」
エンタメ見て「おもしろい」
一方的にマスコミの流す情報に踊らされています
『見る』から『観る』へインプットの仕方を教え込むのも先輩社員の役割のようです
キャリアを積むうちに「モノの見方を知らないということは恐ろしい」とわかるようになってきます
前回は「民主化された情報」についての感想を述べましたが、今回は情報洪水の中での選別について述べたいと思います
ドラマチックを好む我々の脳
人間はかなり間違ったフィルターで世界を見ているとわからせてくれる本がハンス・ロスリンク著『ファクトフルネス』という本です
本も持っているし、Amazonの聞く読書でも聞きました
まず『人はドラマチックな見方が好き』ということです
私達は事実とは異なる、ドラマチックで偏見に満ちたものの見方をしているということです
『世界中でテロでたくさんの人が死んでいる』⇒実際は全死亡原因の0.05%です
貧困に苦しむ人・飢餓で亡くなる人もこの20年で激減しています
ニュースは事件ばかり報道するので「世界はどんどん悪くなっているし、残酷で危険に満ちている」と思いがちです
実際は世界はどんどん良くなっているのです
これは人類の脳が古来より生存の為、事実よりも恐怖を大きめに感じることで生存確率を上げてきた為です
データは嘘をつかないので、事実を知ることで根拠のない不安を消し去り、様々な課題に対処できるようになります
また「世界は分断されている」という『分断本能』もあります
善と悪
金持ちと貧乏
先進国と発展途上国
人には『対立関係でとらえるクセ』があります
実際の世界は二極化されておらず、ほとんどはその中間に位置しています
「先進国と発展途上国の幼児死亡率には大きな差がある」という考え方も1965年には正しいが、2017年前後からは大差はありません
そもそも現在発展途上国に分類される国は6%です
1800年頃は人類の85%が極度の貧困状態でした
1966年まで半数の人類が貧困状態です
1997年でも中国もインドも42%貧困状態だったのですが、現在インドは12%・中国0.7%です
古いデータのまま思い込んでいると判断を誤ります
ネガティブ本能をコントロールする
人は『過去を美化し、未来を不安視する』というクセがあります
「世界はどんどん悪くなっている」と感じるのは『ネガティブ本能』からです
「今年はペストの死亡者はゼロです」
「今年は作物が順調に収穫出来ました」
「今年は航空機事故ゼロです」
などの明るい話題はニュースになりません
視聴率で稼ぐ報道機関にあって、暗い話題ほどニュースになります
平和や幸福はニュースにならないのです
視聴率が稼げるのは『恐怖本能』を刺激したものです
どうしても人はネガティブに反応するように出来ています
飢餓は激減して、貧困も差別も危険も減少し続けています
「年々世界は暮らしやすく、楽しくなってきている」という事実を一番に自覚すべきだと思います
働いている人の多くが「より良いものにしよう」「もっと便利にしよう」「さらに喜んでもらえるものにしよう」と日々動いている世界で悪い方に向かっていくということはないと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました