陽に進んだ分、陰にも進む
何度か話していますが、東洋には『一極二元論』という考え方があります
人は良くしようとして陽の方向に進みますが、陽に進んだ分、陰にも進んでいるということです
美味しい食べ物がたくさん溢れていますが、そのお陰で太ることに悩むようになります
「痩せることにこんなに苦労するなんて苦しい」からといって、食糧難に苦しむ国に移ろうとは思いません
東洋哲学は『中庸を良しとする』ので、美味しくてもほどほどにということになります
スマホの害も色々問題視されますが、害があるからといってスマホが今さらなくなるわけではありません
「乗り物の発達は人の足腰を弱くした」
「食料自給が改善し、医療も進歩してどんどん長寿になり社会保障が大変になっている」
とにかく人は陽方向に突き進むので、新たな問題にそのつど対応しなければなりません
社会がどんどん良くなっても、どんどん新たな問題が生まれてきます
陽が極まれば陰となる
ここのところの猛暑に加え雨が全く降らず、庭木によってはだいぶくたびれて来てますが、雑草だけはすこぶる元気です
雑草はいかなる環境下でもグイグイ成長するたくましさをもっています
紛争地域や飢餓に苦しむ地域の人は大変な状況だとは思いますが「生きよう!」という力は非常に強いです
『社会福祉が優れている国は自殺率が上がる』と言いますが、よりよく生きやすい社会を創った結果、たくましく生きる力がなくなっていきます
何かと不適切な発言や行動が多い為、令和の社会では恐竜のように扱われる昭和入社の管理職ですが、個人的には「この人達がいなくなると会社は弱体化する」と感じる時があります
いかなる環境下でも結果を出そうとする執念と、組織への忠誠心はこの世代がいなくなると消滅しそうな気がします
『何かを得たら何かを失う』
ハラスメント取り締まりなどで職場環境が良くなるにつれ、失われていくものもあります
以前、プロレスラーの藤原喜明さんが師匠であるアントニオ猪木さんの跡を継ぐ人はだれかと尋ねられた時「ブラジルで奴隷のような労働を子供の時から強要され、口減らしのように力道山に売られ、ブラジルの山猿と毎日のように激しいいじめにあい、目の上のたん瘤だと会社を首になり、立ち上げた東京プロレスは潰れ、そんなこと苦とも思わない精神構造をしている」「ハラスメントだとか社会福祉だとか言ってる世代からアントニオ猪木は生まれない」と語ってました
奴隷のような時代を経験したからこそ『陰が極まると陽となる』の人生だったのだと思います
恵まれた環境下では、メンタルはどんどん弱くなっていくと考えた方が良さそうです
AIの進歩が生む病気
AIが進歩して便利な世の中になってくると「人類を死に到らしめる最大の病気はうつ病となる」と言われています
産業医の先生に言われた時も、なんとなくそうだなと理解出来ました
諸外国がうつ病が減り続けている中で、日本だけは増え続け高止まりしています
とにかく世界的に見て、日本の精神病での入院患者数はダントツに多いです
精神を病むと、なかなか完治はしません
多くの場合、完治ではなく寛解(かんかい)と診断されます
完治(かんち): 病気や怪我が完全に治り、以前の状態にまで戻ること
全治(ぜんち): 病気や怪我の治療がいらなくなり、日常生活を問題なく送れるようになること
寛解(かんかい): 病気や怪我が一時的によくなり、症状が抑えられていること
で、完全には良くならず、何とか抑え込んだ状態が寛解です
日本人はケガや病気のような物理的なものは、すぐに病院に行きますが「精神を病んだ」という状態をなかなか認めようとせず、異常者のように忌み嫌います
諸外国では「最近メンタル少しおかしいからカウンセリング行ってくる」など、普通の風邪やケガと同じように捉え、何と言っても対応が早いです
日本人が何故入院期間が長くなるかというと、初動が遅すぎて重症化してから病院に行くからのようです
精神科への通院や心理カウンセリングを受けていることなども隠そうとします
精神を病むことは異常なこと⇒医者にかかるのが遅れる⇒重症化して入院が長くなるのが日本人です
統合失調症の患者を対象にした研究報告では一般の人の平均寿命よりもかなり低い数値が報告されています
日本人は「ケガや風邪と同じように精神を病むことは良くあることだ」という考え方をもち、気軽に精神科や心理カウンセリングを受けることが重要だと思います
社会福祉が充実した国で、AIがどんどん進化していくことを考えれば、精神を病むことに対する対処知識は皆で共有すべき問題だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました