求人も独特なブラック企業
現在は求人媒体に、求人者も性別や年齢が記載できません
それでも20代が欲しい場合は「20代が活躍している職場です」などは記載できますが「20代求む!」などは求人媒体の会社からNGをもらいます
ずらりと並ぶ求人に「社員同士和気あいあいの職場です!」「明るく笑顔が絶えない職場です!」などと記載されている求人広告があったりします
「なぜこんなことを打ち出すんでしょうかね?」と求人広告の担当に聞くと「こういう会社は大概ブラックです」とボソッと教えてくれます
わざわざ「明るくて人間関係がいい」などを打ち出す事態おかしなことです
他にも「毎回募集を出している会社にもブラックは多いです」とのこと
これは業種で人手不足の場合もありますので、一概にはブラックと決めつけてはいけませんが『皆仲良く働いている』『毎回求人広告が掲載されている』とくればブラック率は高い可能性があります
口コミサイトも小さい会社だと見つけにくい場合が多いです
会社の社員がせっせと会社が良いというウソ情報を書き込んでいる場合もあります
会社は実際に入社して働いてみないとわかりませんが、出来れば事前に避けることが望まれますよね
ブラック企業はネットで公表されている
「ブラック企業=労働環境が劣悪で、遵法意識も低く、従業員を使い潰すような悪質企業」という定義が一般的です
働き方改革総合研究所株式会社代表取締役 新田 龍 さんによれば「ブラック企業はネットで公表されている」とのことです
厚生労働省は2013年9月から、離職率が高かったり、長時間労働で労働基準法違反の疑いがあったりする全国の約4000社に対して実態調査を開始し、それを受けて2017年5月からは、重大で悪質な違反を繰り返し、改善が見られない企業の社名や違反内容を「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として公表し始めており、毎月情報が更新されているようです
こんな不名誉な公表はないですね
この会社で採用業務をやる人は本当に大変です
働き方改革関連法施行当初「物流・運送業」「建設業」「医療業」など一部業種では、業務内容の特性上、長時間労働になりやすい業態であることから、是正には時間がかかると判断され、時間外労働の上限規制適用が5年間猶予されていたそうです
その猶予期限もついに本年終了を迎え、2024年4月1日以降は他業界と同様に、時間外労働時間の年間上限が制限されることとなりました
今後は原則としてすべての業種が残業時間上限規制の対象となるため「ウチの業界は特殊だから・・・」といった言い訳は通用しなくなります
法違反が発覚する「違反率」は微増傾向にあるが、一方で労働者からの申告に基づいて実施される「申告監督」の件数は、従前の毎年4万件超から、平成24年以降は4万件を下回っています
従前であれば労基署に駆け込むしかなかった労務トラブルが、関係者の積極的な広報により「法テラス」(法務省)「労働相談ホットライン」(全国労働組合連合会)や個人単位で加入できる「合同労働組合(ユニオン)」そして昨今サービスの興隆を見せている「退職代行サービス」など、労基署以外のトラブル解決手法にリーチしやすくなったことや、人手不足で求人が増えたことを背景にトラブルが複雑化する前に、ブラック企業にアッサリ見切りをつけて辞めるケースが増加したことなどが考えられています
全国の労働局や労働基準監督署など379カ所に設置されている「総合労働相談コーナー」に寄せられる労務トラブルの相談件数は16年連続で100万件を超え、高止まり状態にあるが、その内訳をみると平成24年以前は相談割合として最も多くを占めていた「解雇」にまつわる相談件数が減少し「辞めたいのに辞めさせてもらえない」(慰留、在籍強要、退職妨害)が増えています
「人手不足により労働者に見捨てられるブラック企業」の構図がハッキリしだしていますから「ブラックのままでは生き残れない」と変化していくブラック企業は増えると思います
ブラック企業を忌避する意識が広く浸透したことで、とくに人手不足が叫ばれる昨今においては、就職時や転職時に選択肢から疎外されることにより「労働環境や経営者・管理職の意識を改めないことには、真っ当な人員を確保すること自体が困難になる」と認識しはじめてます
同時に遵法意識を持ち、コンプライアンスにも配慮しなければ、ビジネス上の取引先としても選好されないという環境にもなりつつあり、段階的にではあるが「ブラック企業のままでは生き永らえることが困難」という状況が年々強くなってきています
労働者側も従前であれば「社会で働くとはこういうもの」と諦め、過重労働や組織内外の理不尽な要求を強制的に納得させられてきた人たちが
「自分が今いる環境は、実は『ブラック企業』なのでは?」
「あの時の指導は、実は『パワハラ』だったのでは?」
と気づき、より良好な労働環境の会社に転職したり、権利主張できるようになったりするなど、前向きな行動の動機となった面もあるります
人口オーナス期にはいれば超人手不足になる
人手不足の影響で、とくに優秀な人材を採用したい企業においては、他社との差別化のためにも賃上げや労働環境改善を実施せざるを得ず、1社が実施すればその採用競合にあたる企業も後追いするため、結果的に労働条件改善競争が発生しています
労働条件を改善できないブラック企業にとっては採用・定着に大きく課題を抱えることになります
旭酒造は23年度の新卒初任給を一挙に9万円引き上げ30万円にし、おどろかされました
これは採用担当者としてはかなりの追い風で、うらやましい限りです
中小企業の場合、賃上げを実現できるのは強力な商材を保持していたり、経営努力によって合理化を実現していたりする一部企業に限られますが、こうした企業が増えていけば、努力もしなければブランドも有しない一介のブラック企業では人材獲得が今後急速に困難となっていきます
現在40代後半~50代前半の「第二次ベビーブーム」世代は、1歳ごとに200万人くらいますが、今の新人世代はその半分の100万人くらいです
2023年の出生数は72万6000人と、8年連続で過去最少の出生数となっています
もう「お前の代わりなんていくらでもいるんだ!」などという時代ではないどころか、これから「若い人手」が何よりも貴重な時代に突入することになります
2004年から日本は人口減少傾向へと移行し、2010年ごろから「数年以内に抜本的な少子化対策を実施しないと取り返しのつかない事態になる」と警鐘が鳴らされ始めました
戦後日本は長らく「人口ボーナス期」で恵まれていましたが、この時代には大量かつ均一な商品やサービスが求められるため、男性ばかりで長時間労働する同質的な組織が大成功し、その状況に最適化した人事制度や雇用慣行を今まで使い続けてきました
しかし、高齢者に比べて労働力人口が少ない「人口オーナス期」となり、モノがあふれてすぐに飽きられ、買い手も減少していく時代となっては、大量生産よりも
- 商品やサービスにイノベーションが起きること
- 多様な発想が生まれること
- 育児や介護などの制約条件があっても働き続けられる組織であること
の重要性が増してきています
「最近の若者は軟弱だ」
「子持ち女性は厄介だ」
などと思っている企業はやっていけなくなると思います
『いかに若者や育児中の女性が働きやすい環境を整備できるか』はもっとも重要なテーマです
人を会社に合わせる時代は終わり、会社が人に合わせる時代といえます
また働く人の価値観も多様化し、報酬のあり方も決して「出世」や「昇給」ばかりでなく「働く場所と時間」「副業」「ワーク・ライフ・バランス」などの「自由」や「柔軟性」が確保されている状態こそが魅力的な報酬と捉える傾向も強くなっていきます
「強いものが栄えるのではなく、環境に適応していけるものが生き残る」という適者生存の法則で考えないと、人口オーナス期は生きていけなくなりそうです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました