教育の目的とは何だろう
『福祉の充実した国は自殺率が上がる』という衝撃の事実があります
日本の場合、雇用の安定させる取り組みと医療制度の充実に老後の年金は世界トップレベルなので、やはり自殺率は高いです
今話題のガザ地区やウクライナは非常に苦しい環境ですが、自殺者はほぼゼロです
保護制度もいき過ぎると生きるたくましさを奪います
極端な例でいえば、以前ご紹介したナウル共和国がいい例です
ナウル共和国の失われた30年|ビジネス算命学 (ahikaga.com)
算命学でいう『陽も極まれば陰となる』の法則通りです
例えば子供の過保護で考えてみると
知り合いの小学校の先生に聞いた話ですが、結婚は早かったものの子供を授かったのが40代の夫婦がいました
夫婦も同居していた祖父母も非常に喜び、かなり過保護に育てたようです
体操着には自分で着替えられない
給食を食べるのは人の3倍かかる
翌日の授業の教科書等の準備は両親がしている
なにからなにまで過保護に育てているため、先生も家庭訪問で注意するのですが、ニコニコ優しいご家族はあまり変化がないそうです
先生たちにつけられたあだ名は『ラストエンペラー』
学校教育では「知識の習得」「集団行動」を身につけさせます
子供の教育の目的は『自立して生きることのできるようにすること』ですから、学校と家庭の双方で行う必要があります
では企業の行う教育とは何でしょうか
ヒューマンスキルとして大事なこと
企業の行う新入社員への教育は大きく2種類あります
その企業に必要な知識や技術を身につけるビジネススキル
社会人としての土台となるヒューマンスキル
ですが、新卒一括入社の多い日本企業は、しっかりした考え方を身につけさせるためヒューマンスキルの教育にも熱心です
これはヒヨッコのうちしか吸収せず、ある程度成長してしまうと身につけようとしなくなるからです
過保護とは過剰すぎる保護のことですが、逆に厳しすぎて人の精神を破壊したり、やる気や組織への忠誠心を奪う場合もあります
太陽に近すぎる星に生物はおらず、逆に離れ過ぎている星にも生物は存在しません
地球は生物の繁栄にベストな位置にあるといえます
老子の教えの通り『中庸』というものを学ぶことが大切です
教育・研修を長くやっていて「これは最初に身につけさせないと大変なことになる」というものを上げてみたいと思います
①自責思考
原因自分論と言いますが、教育しないと「国が悪い!会社が悪い!上司が悪い!環境が悪い!」とすべてを周りのせいにする原因他人論=他責思考になりがちです
思考は「どこ→なぜ→どう」で完結させねばならず「どうする」の段階が一番頭を使います
ようは、どこ・なぜで思考を止める方が楽なんです
私達が考えるより脳はエネルギーを消耗するものなので『深く・広く考えるは苦痛』なのですが、最初から考える癖をつけないと知性が育ちません
キャリアはあるのに「どこ⇔なぜ」を繰り返して喋ってる人がいますが、その人が組織を良くしたのを見たことがありません
昭和に比べ令和は知能指数が上がってきてるので「いい年してあんな知性しかないのか」と新人に見限られたりします
「どこ・なぜ」思考しかない人と、若いうちから「どこ・なぜ・どう」思考で鍛えていた人では、キャリアを積むうちに大きな能力差となります
「こうやれ」「こう動け」など『その時どう動く』という指示に大きな差が出ますので、下の世代も簡単に見抜きます
組織の繁栄は自責思考の人の比率にかかっていると思います
老子が説くように『すべては自分の蒔いた種』ということかもしれません
世の中はお陰様であふれている
②感謝思考
報道を観ていると悪いことばかりを目にしますので「ろくな世の中じゃない」と思いがちですが、実際は顔も知らないどこかの誰かが働いてくれたおかげで世の中はどんどん良くなってきています
「俺の作った売上で今月は支店の売上が良かった」などという思考の社員をつくらないことです
商品を作った人たち、宣伝を企画してくれた人たち、様々なサポートしてくれた人たちに支えられているのが組織だということを初期段階でわからせないと『感謝を見つける目』が育ちません
『人の不幸の上に自分の幸福を築く』姿勢の人が増えると組織は世知辛くなります
先日近所の小学4年生が「税金が上がった」とぼやく大人に「大人が税金を払ってくれているお陰で、教科書もタダで学校にも通える!ありがとう」と話していたと聞きました
日本の未来に対して明るい出来事に感じます
家庭なのか学校なのかはわかりませんが、感謝思考の教育の賜物だと思います
③変化思考
人は「他者を変えようとはするが自分は変わろうとしない」というクセがあります
自分を変えるのはしんどいですが、これは上長になった時に悪影響を及ぼします
自分の考えを変える
自分の行動を変える
は長い目で見れば、自分に利があることです
『他人を変えようとしない』という習慣は非常に大切です
もうひとつ世の中はどんどん変化していくので「今のあたりまえはずっと続かない」と悟るべきです
終身雇用&年功序列の時代は良かったが、その弊害が出てきて日本は競争力を失いました
良かったと嘆くのではなくて、一つのステップだったのだと思います
終身雇用&年功序列はある程度残しつつ、ステップアップしやすく、人材の流動化を生む仕組みに変わりつつあります
『諸行無常』『万物流転』の教えの通り『世の中に変化しないものはない』のです
夏には夏の服装や生活環境、冬には冬の服装と生活環境に変えるように、変化は常にあると考えるクセが大切です
『優れた考え方を身につけることにより苦しみから逃れる』のが仏教の基本姿勢なので、長い社会人人生の中で『考え方の教育』というのは非常に大切だと思います
まったくの個人的な意見ではありますが、以上が長年の管理職、教育・研修担当として新人育成に大切なヒューマンスキルの教育だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました