昭和のキャリア論は風化していく
バブルの頃は「転職するなら20代」と言われていました
新卒と年齢差がないほどいいという考え方からで、転職ばかりしている人は難民のように見られていました
『自分を磨いて次の職場に高く売る』という投資のような考え方がだいぶ浸透してきましたが「45歳が大きな区切り」という意見を述べる人は多いです
「株式投資」「不動産投資」「権利投資」などありますが「自己投資」は労働市場に自分という労働資本を投入して稼ぐという投資だとすれば、自分を高く売るために自分の価値を高めるのは非常に健全なキャリア構築になります
従って若い世代は退職金に関心がないし、退職金制度のない会社も増えてきました
若者からは「退職金制度をやめてその分、給料を増やしてほしい」
「退職金をもらうために会社にぶら下がるおじさんが多い!退職金などない方がいい」
など退職金制度は害のある制度に見られ始めました
「人間関係が悪く辞める」は多いですが、最近の傾向では「自己成長ができないから辞める」も増えつつあります
『いつどのタイミングで自分を高く売るのか?』は様々な議論がされていますが、難しい問題です
世の中は相場で動く
景気が良ければ株価はあがり、戦争が起これば金相場が上がるなど世の中は相場で動いています
コロナ下での外出制限で調理師の需要は大きく減りました
調理師がトラックドライバーになったりもあり、調理師専門学校は入学者が激減して窮地にも追い込まれましたが、行動制限がなくなると調理師不足に戻ります
職人のようなスペシャリスト、マネジメントのプロの管理職などを目指している人は多いと思いますが「どのタイミングが最も自分を高く売れるのか?」を考える時代になりました
サントリーの社長が「45歳定年が理想」と述べて炎上しましたが、大企業は黒字なのに早期退職者を高額な退職金の上積みで募っています
早期退職は45歳以上が多く、優秀な新卒を毎年採用できる力のある大企業では『45歳が一つの区切り』と考えた方が良さそうです
その前に自分を磨いて次のキャリアを創ることがこれからのスタンダードで、大企業からスタートアップ企業への転職が年々増加しているのもそのせいだと思います
パーソル総合研究所シンクタンク本部 の藤井 薫 さんは「40代半ばは魔の年齢」と呼んでいます
貴重な若手→働き盛りの中堅→単なるベテラン
新卒で企業に入社すると「貴重な若手」として期待と関心を持って目配りされます
新入社員からの10年間の20代半ば~30代前半は定期的なローテーションを行いながらじっくりと適性を見定められるのが普通です
会社から初期配属部署での「早期戦力化」を重視する会社もありますが、何らかの育成観点を含む、それぞれの会社で工夫された異動配置施策が行われています
また、貴重な若手人材ですから部門も人事部も期待と関心を持って若手社員に目配りしています
他部署への異動を行う際の受け入れ先探しにもさほど困ることもないですが、 問題はそれ以降です
藤井さんはサラリーマンは『貴重な若手→働き盛りの中堅→単なるベテラン』というルートで進んで行くと言います
30代半ば以降の中堅社員やベテラン社員の異動配置については「あまり明確な方針がない」「個別対応になる」という企業が多くなります
年代層が上がるにつれて、だんだんと方針があいまいになって個別対応に近くなってきます
今の中高生は半分が107歳まで生きると予測されています
『人生100年時代』となれば年金支給は85歳
20歳前後で入社して65年間も企業が面倒をみるのは無理だし、企業が65年間存続する可能性も低いです
終身雇用は「55歳までなら面倒みますよ」という昭和モデルであり、以前も述べたことはありますが『人生の成層圏が高くなった現代では三段ロケットでないと到達できない』と思います
万年人手不足の企業なら「働ける間はずっといてください」と最後まで在籍できそうですが、6割以上の人は
・新入社員で入社した会社で自分磨きをする
・30歳~40歳で次のキャリアに進む
・60歳前後で自分らしい収入源を得る生き方をする
となっていくと思います
Ⅹ世代以上は「これからキャリアの変更」よりも『年金プラス10万円』がテーマになりそうですが、これは後日書き綴りたいと思います
Z世代の親はⅩ世代以上が多く「定年まで我慢して勤めなさい」というアドバイスをする親もいるかもしれませんが、昭和と令和はキャリア構築が全く違うことを意識した方がいいと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました