老後年表は50歳から始まる!
私の仕事は新卒の採用・教育・研修ですが、最近はめっきりシニアとのかかわり合いが多くなりました
経験したことのない世界だからもしれませんが、人は自分より世代が上の人には共感する力が弱くなります
シニア世代の苦悩はわかっているつもりでわかっていなかったと思い知らされます
「若手をいかに育てていくか」ばかり考えてきた社会人人生でしたが、今年は役職定年世代からシニアまでの世代とのコミュニケーションが非常に多かった1年でした
『老後の年表』という書籍が非常に参考になります
【50歳】親の介護で「介護うつ」と「介護離職」が忍び寄る
【51歳】更年期障害で妻の怒りが爆発
【56歳】熟年離婚予備軍に仲間入り・男性は役職定年で無気力に
【62歳】銀行の勧めで財産が「半凍結」状態に
【63歳】初孫誕生で心の資産拡大
【65歳】長生きしたけりゃ年金はまだもらうな!?
【66歳】がんの発症率急増
【70歳】平均的な資産保有額だと10年で枯渇
【72歳】我が子がニートに 娘は結婚出戻り
【75歳】病気、要介護、認知症になる割合が倍増
【77歳】資金作りの為にマイホームを安く売却
【79歳】介護施設突然入居 施設選びで想像以上の出費
と記載されています
「ええ!50歳から年表ははじまるのか!」とびっくりします
人は見たくない現実を直視する
言われてみれば「介護鬱」になった社員「介護の為に離職する」社員は社内にもいたと聞いたことがあります
「退職金で資産運用しようと思ったら銀行の窓口には行ってはいけない!」とも先輩方が口をしょっぱくしてアドバイスしてきます
「親切な顔をして自分たちの儲かる金融商品しか勧めてこない!絶対にネット証券にしろ!資産がなくなるぞ!」と痛い目に合った仲間が多い故の教訓です
女性の更年期障害だけでなく、無自覚の男性の更年期障害もあります
60歳も中盤になるとがんの発症率が急上昇し、70歳になると医療費が急上昇する
男性は特に『すべての中心に会社があった』状態で、仕事を辞めると何のコミュニティも趣味もない場合が多く退屈との戦いです
組織の活性化のために行う役職定年ですが、給料が下がる以上にテンションが大きく下がります
「今のうちに断捨離しなさいよ!」と言われますが、年を取ると重いものを処分する体力・気力がなくなりゴミ屋敷になる恐れがあります
年金制度がしっかりしてからは、基本子供たちは独立すれば頼ることはできません
高齢者の経済力を保証する必要があるため、基本的に入院や老人ホームへの入居は身元保証人がいないと入れないという施設がほとんどだそうです
シニアの方々は本当に有り難い教訓を与えてくれます
私達は耳には入ってきているのでしょうが『人は見たくない未来からは目を背ける』ようです
とはいえ判断力が鈍ったり体が動かなくなったりする前の元気なうちに、あらかじめ対策を行っておくことが必要です
川口雅裕氏によるとインドには人生を四つに分けて考える「四住期」という考え方 があるそうです
①学生期(がくしょうき)まだ一人前ではなく、学び、心身の鍛錬を通して成長していく期間
②家住期(かじゅうき)仕事を得て懸命に働き、結婚し、家庭を持ち、子を育てるために頑張る期間
③林住期(りんじゅうき)世俗を離れ、迷いが晴れ、自分らしく自由に、人間らしく生きる時期
④遊行期(ゆぎょうき)人生の最後の場所を求め、遊ぶように何ものにもとらわれない人生の最終盤
古代中国でも「玄冬」「青春」「朱夏」「白秋」という人生の四季があります
「老いは苦痛」という捉え方を先人たちはしていないです
今を懸命に生きて先を見ない
私も母の様態が悪そうなので地元に帰ることを決意した一人です
高校から実家を離れ、就職後は転勤族で、家族は私の実家の近くに移り、単身赴任で東京にいました
父親は64歳でなくなり死に目にも会えなかったのが決断に至ったと思います
介護は必要なかったのですが、とにかく心臓が悪いのに活動的で「動きすぎて倒れる」ことが多発しだしたのが理由です
「車の運転ぐらいはしてあげればだいぶ助かるだろう」と話し合って決めました
私の長女は高校になると私の母と2人で暮らしており、長女の面倒をみることが生きがいだったらしく、長女が離れるとガクッと来たようです
はたから見ると「受験生の面倒をみるのは大変」と見えますが、本人にとってはやりがいが生きがいだったようです
「営業部長にもなったのに地元に戻ると給料が大きく下がる」と先輩に相談すると「じゃあ、サラリーマンを副業にすればいい!」と奇想天外なことを言われます
「お前は株式投資・不動産投資に明るい!そっちで大きく収益をあげろ!資本主義は資本家有利な仕組みだぞ!」と言われます
決してサラリーマンをバカにしているわけではなく『労働所得一本は危険』と言いたかったのだと思います
サラリーマンは会社から見放されるとやっていけない
経営者は銀行から見放されるとやっていけない
「こんな奴隷状態ではいつ破滅するかわからない」ということを説かれます
『会社の奴隷ではないサラリーマン』『銀行の奴隷ではない経営者』が理想です
結局、実家に戻ったその日、退院する母を迎えに行くと容態急変で帰らぬ人となります
78歳だったのであと10年は生きるものと思っていました
「孝行したいときに親はなし」はその時になって自覚します
現在は長女が大学院生、長男と次女が大学生、3人そろって一人暮らし
学費・生活費にアパートの契約時のお金や生活用品一式は労働所得一本では難しいです
私が「株式投資・不動産投資」を勧めるのは、ローレンバフェットやロバートキヨサキに感化されているからでなく「そうしないと子供たちを大学に行かせられないから」です
もし子供がいなかったら「投資はするべきだよね・・・」と言うだけで『理解はしているけど動かない人』だったかもしれません
今を生きるのが精いっぱいで老後のことは考えもしませんが、シニアの方々のカウンセリングをしていると『知りたくない現実』を教えられます
これは非常に貴重なことで『社会での生き方』はネットや本で知ることが出来ますが『老後の生き方』は基本的に口伝(人の口から)でしか知ることが出来ません
アリとキリギリスではないですが『冬に備えて準備しておく』ことはミドルのうちからということになりそうです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました