非正規労働者は増え続けている
労働環境は景気動向やテクノロジーの変化などで人手不足になったり、人余りになったりなどを採用の立場で見てきました
求人市場は相場があります
採用する側が強かったり、就職する側が強かったりで同じレベルの人材でも相場が違います
新卒正規労働者の話になりますが 私が新卒で入社した企業の元部下だった後輩と久しぶりに会う機会がありました
仕事も優秀で部下からの信頼も厚い優秀な人間ですが現在はチーフ(主任)です
「僕は就職氷河期ど真ん中の入社なんですが もしバブル期の入社だったらどうだったんでしょう?」
彼の出身大学・営業成績・マネジメント力なら支店長か本部の課長は固いでしょう
なんせ彼の世代は50人に1人の選考合格率ですから優秀なのは間違いありません
優秀か否かの前に「入社した時代の環境」がかなり重要です
拡大に次ぐ拡大の経済だった昭和 縮小に次ぐ縮小の経済だった平成 では企業の求人活動が違います
平成の入り口だった私も低迷する中を生き続けたとはいえ 採用時には会社はまだ事業拡大中でしたので恵まれていると言えます
1990年に881万人だった非正規雇用者数は 2014年に1962万人と2倍以上になりました 正規雇用者数は 1990年代中盤以降減少しています
男女別にみると 正規雇用者の約7割を男性が占め 非正規雇用者の約7割を女性が占めています
また男性の非正規雇用者の約5割は「世帯主」であり 女性の非正規雇用者の約6割は「世帯主の配偶者」となっています
非正規の職に就いた理由をわけると
①『正規雇用の採用がないから』不本意だが非正規雇用の数は約2割
②時間の都合や家庭都合等を理由として非正規雇用を選択した人は約8割
『正規の職員・従業員の仕事がないから非正規雇用の職に就いた者』の約半数は転職や追加の仕事を希望しています
非正規雇用が増えた要因
非正規雇用労働者が増加した要因はいろいろありますが 大きくは3つです
①企業の正規雇用労働者採用減
経済のグローバル化による国際競争への対策として より安価な労働力が得られる国に生産拠点を移す企業が増加
さらにデフレ不況の長期化なども追い打ちをかけ 特に製造業などで正規雇用を減らす動きが活発化した
②ICT=情報通信技術の革新
これまで人が行っていた仕事がコンピューターにとって代わり 経験のない 経験の浅い人でもできる仕事が増えた
③第3次産業への移行
国内産業の中心が 製造業からサービス業へ移るという産業構造の変化が起きた
正規雇用の多い製造業が衰退していき 非正規雇用率の多い 小売業・飲食業などのサービス業が拡大 固定的な労働力ではなく アルバイトのような変動的な労働力の需要が高まった
平成25年に「日本再興戦略」が決定 正規雇用者の数字も増加傾向が見られます
非正規雇用支援制度
不本意に非正規雇用者になった方に正規雇用の道を国も考えています
仕事をきちんとこなせる能力があれば問題のない非正規雇用社員と違い
正規雇用は コミニュケーション能力 ストレス耐久性 判断力 責任感 リーダーシップ など集団の中で働くための能力が求められます
正規雇用を目指す場合には 社会人としての基礎能力 職業意識を強く求める企業ニーズに対応した即戦力重視型・人間力養成型の教育訓練の提供が必要です
国の支援制度としては下記のものがあります
ジョブカード制度
きめ細やかなキャリアコンサルティング 実践的な職業訓練・訓練終了後の能力評価から安定的な雇用への移行を目的とする
トライアル雇用奨励金
早期就職の実現を目的として 技術や知識の不足などから安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した場合に助成する
わかもの支援コーナー
厚生労働省はフリーターの多い地域に 若者支援を目指す わかものハローワーク わかもの支援コーナー わかもの支援窓口 を設置
求人情報の提供 相談 担当制による個別支援のサービスを無料で行う
新卒応援ハローワーク
新卒就職希望者に対して 求人情報の提供 職業相談 就活に役立つセミナー 面接会などを開催して就業をバックアップする
全国のハローワークで無料で利用できる
能力があるのに「就職氷河期」「不況による倒産」などで不本意に非正規労働者になった方も多いと思います それでもドライに人を切り捨てる諸外国に比べ 日本は「なんとか救ってあげたい」という温情が強い国だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました