脳には臨界期がある
脳生理学では『臨界期』と言う言葉をよく使うそうです
『正しい時期に刺激を受けなければ正常な機能が発達しない』
その時期を指して臨界期と言うようです
たとえば、猫の子供に生まれてすぐ目隠しをする
そのまま45日間、光の刺激を与えない
視覚系の神経細胞は未発達のままになる
ついには、永久にものが見えなくなる
この45日間が子猫の目の臨界期ということです
一定の時間を過ぎると変化しなくなるということです
仕事でも臨界期はあります
例えば保険の世界では新商品が出ても1カ月たっても契約されないと、皆 積極的に提案しなくなり敬遠されるようになるそうです
「保険の世界では新商品の臨界期は1ヵ月」と聞いたことがあります
散らかした部屋も1ヵ月半放置すると、見慣れてしまい掃除がかなり億劫になるそうです
「思ったが吉日」とはよく言ったもので「先送りにするはやらないと一緒」なのだとつくづく思います
「やった方がいいのはよくわかっているが、やらずに放置しているもの」は大なり小なり誰でもあるのではないでしょうか
『脳がなれる』『そして固まってしまう』は怖いことなのかもしれません
この世に変化しないものはない
万物流転
諸行無常
変化には変化
あらゆる生物は変化に対応したモノのみ生き残る
古来より「この世に変化しないものはない」「変化に備えよ」と言われていますが、そううまくはいきません
現在、若い世代より50代の退職者の方が多いそうです
「最近の若い奴らはすぐ辞める・・・」と言ってた世代ではないの?と思ってしまいます
人事関連の部署にいると「55歳定年の時代が一番理想的」とわかります
最後まで役職から降りずに在籍できる可能性が高いです
60歳⇒65歳⇒70歳⇒いずれは寿命の延びに合わせて75歳が定年になることを想定すると、どこかで役職定年&給料減は必然だというシミレーションになります
定着率が低ければいいのですが、定着率が高ければ高い企業ほど深刻な問題です
「若い世代に役職を譲り、ベテランは若者のサポートに・・・」と思っていましたが、実際それを腹に落としてくれる人はごく少数です
定年年齢の伸びからくる『50歳役職定年』や大企業の『45歳以上早期退職』は多くのX世代を苦しめています
女性は割と柔軟で、責任も軽くなり早く帰宅して趣味やコミュニティで新しい生き方をしている人が多いのですが、男性は大きく固まってしまった『面子』という厄介なものがあるようです
「今さら若い上司の下で働けるか・・・」
「面子をつぶされて生きていけるか・・・」
が退職に直結するようです
先日会社を辞めてからも飲み仲間の50歳の友人と会ったとき
「また辞めたよ!20代30代の上司の下でなんか働けないよ!2年で5回も会社変わった」と言います
「どこも正社員で雇ってやるけど役職はやらないよ!って感じだ!」とぼやきます
「現実はそんなもの」と割り切れない人も多いです
コロナが落ち着いた現在の日本は超人手不足なので、求人のかなり少ないお隣の中国・韓国からすれば『羨ましいほど求人のある国』ですが、このような雇用変化による闇も存在しています
求人サイトの方と打ち合わせしても「50代は入社してもすぐ辞めちゃいますからね」と語っていました
Z世代は「リスキリングで新しい業種にチャレンジすればいいじゃないですか!」と当たり前のように言いますが「それはない」という感じです
「この世に変化しないものはない」
「変化を常に予測し対応を」
「変化に対応しないと生き残れない」
と正論を言われても、実際変化は苦痛です
X世代は背負っているものが重い 人が多い
某大手企業の人事部にいる同級生と現在のX世代の苦境を話した時
「住宅ローンがある人は重いね!ない人を軽石と呼んでいる」
「住宅ローン+子供が大学生の人は錨」
「子供がいないか就職していて住宅ローンも無ければ紙風船」と呼んでいるそうです
「背負っているものが重くて、メンツがつぶされた苦しい環境にいる人はメンタルが相当キツイと思う」と語っていました
私も役職定年導入をどうするのか、かんかんがくがくやっている渦中にいますが、考えているより重い問題です
新卒で入社した生え抜き社員にはできるだけ適正な時期にしかるべきポストを与えたいし、そうしなければ組織が活性化しません
X世代は雇用の変化の過渡期で苦しむ世代のようです
X世代より前の世代は『上手く逃げ切った世代』です
X世代より下のY世代は就職難で苦しんだ世代です
世界の基準はZ世代にシフトしていますので、商品開発や宣伝、雇用システムに到るまでZ世代に合わせていく流れです
若いうちは「終身雇用で、年齢と共に給料も役職も上がっていくよ」と摺り込まれ、何十年も経ってから「寿命の延びと少子化でそれはなくなった!」と言われ「状況はよくわかるが変化に対応できない」という苦しみ
「臨界期を過ぎてしまうと機能の発達はない」のかもしれません
長寿は古来より人類が目指していたものですが、長くなってきた人生による苦しみも少しづつ生まれてきているように見えます
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました