独裁というとイメージは悪いが
「独裁者」「独裁国家」など独裁という言葉は悪に聞こえます
ようは一人の人に権力が集中し、その人が全て判断して決めることができる状態です
悪しき例だけが歴史から切り抜かれ、強調されているので「独裁者は悪い奴」というイメージになっています
コロナウイルスが蔓延したばかりの頃「こういう時は独裁的リーダーの方が優れる!民主的リーダーでは混乱し、対処が大きく遅れる」と聞かされました
『独裁者が悪いのではなく、その一極集中した権力をいかに使うかの問題』ということです
コロナのような混乱期は『一人の優れた人間の判断で動いた方がいい』ということです
「1匹の羊が100匹のオオカミを率いる集団より、1匹のオオカミが100匹の羊を率いる集団の方が優れている」といわれるように『リーダーの良し悪しで集団が変わる』ということが古来より言われています
歴史の流れをみても、独裁政治⇒三頭政治⇒民主政治という流れで変化していきます
独裁者に悪しき人がでたりすると「次は1人でなく3人で決めよう」となり、その3人が悪かったりすると「もっと大勢で決めよう」となります
一見いいことのように見えますが、はたしてそうでしょうか?
ギュスターヴ・ル・ボンの群衆心理学
フランスのギュスターヴ・ル・ボンは「人は大勢が集まると判断力がなくなり、賢い人でも思考力がおちる」と述べています
私達は「大勢で考えた方がより優れた答えが出せる」と考えがちですが、それは違うようです
「1人ならしっかり考えられることでも、大勢と一緒になると簡単に判断力がなくなる」と主張しています
深く考えずに、イメージだけで物事を判断するようになります
SNSでも大勢の人が叩けば、その内容について深く考えず「攻撃することが正義」となってしまいます
ル・ボンは『人は多く集まれば集まるほど、真実を求めなくなり、間違いかどうかより魅力的なものを求めるようになる』と述べています
従って、人が多く集まるほど考えることができなくなり、間違った判断や自分に都合の良い判断をしやすくなるようです
群衆は本能や感情と言った衝動で行動するようになり、それが真実かどうか考えることもなく、一見すると魅力的に感じるものを求めるようになるからです
多分この法則を知っている人は『人を操るスキル』を身につけていると思います
政治家の演説で、自由だの平等だの真の○○だの『簡単で真実っぽい言葉』を連呼することにより、群衆を引っ張っていきます
具体的に何が自由で、どうなれば平等なのかの説明はありません
良いイメージの言葉を使うことにより、群衆は勝手に良い想像をし、勝手に興奮してくれます
群衆の精神に思想や信念をくみこませるには『断定・反復・感染』の3つが大事だそうです
断定的にものを言い、何度も繰り返すことで、徐々に感染していくということです
『大勢で話し合って決める』は必ずしも優れた決断が下せるわけではありません
群集心理は脳でなく脊髄反射
『人は一人の時は脳で考えるが、群衆の中にいる時は脊髄反射で行動する』ようです
ル・ボンは「なぜナポレオンは、あれほど見事に民衆を扇動できたのか?」に刮目して分析し群集心理を研究しました
そのル・ボンの群集心理を熱心に学んだのがヒットラーだと言います
ナポレオンの言葉により、それまで善良だった市民が知性を失い、いつの間にか他国の人間を倒すことが正義だと信じて疑わなくなる・・・
ナポレオンは「どうすれば人々の想像力を刺激し、支配できるかを知っていた」と理解できます
また「これからは王や一部の偉人が社会をつくるのではなく、群衆の意志によってつくられる」
「これからは群衆の特性を知っておかねばならない」
という社会変化を1800年代に提唱しています
『群衆はイメージで物事を考え、倫理的思想は存在しない』
ということなので、私達は群集心理からは距離をおき『断定・反復・感染』を脊髄反射でなく、脳で考える姿勢が大切です
民主主義は群集心理で動くことが多々ありますのである意味危険です
であるならば、徳と知性を兼ね備えた独裁者の方がいい国をつくってくれそうです
群集心理に侵されないためにはやはり知性が重要だと思います
『答えがあるものをできるだけ早く正確に導き出すのが知能』で、これは学歴や偏差値の高さを競うことで磨くことができます
『答えのない問題に対して対処する思考力が知性』ですから、知性を磨くことが唯一の群集心理に対する武器だと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました