幸福とは何だろう
いかなる生命も「生」に向かって行動します
高度な知能を有する人間もこれは同じですが、人間は社会的動物です
人は社会の中で生きている以上「幸福」を追求します
至極当然の行動です
子供がおもちゃを買ってもらったり
中高生が初めてスマホを買ってもらったり
本当にうれしそうです
でも一時です
「新しいおもちゃ欲しい」
「機種変したい」
また同じ喜びを得ようとします
10万部突破のベストセラー「 FIRE 最強の早期リタイア術」の著者 クリスティー・シェンさんは幼少期 非常に貧しい暮らしをしていたそうです
子供の頃 父親に 缶のコカ・コーラを買ってもらい「未体験のおいしさ」に感動します
その赤い缶をずっと抱いて寝ていたそうです
小物入れになったり
おもちゃになったり
おしゃれする年頃になるとカーラー代わりにもしていました
彼女にとってコカ・コーラの空き缶は「しあわせの赤い缶」だったようです
日本の子供には無理な幸福感です
幸福とは思うより素朴なものなのかもしれません
ブータンに見る幸福と欲望
「幸福度」といえばブータン王国が思い浮かびます
「国民の幸福度が世界一」「国民の97%が幸福と感じている」と報道されています
国王も国民に非常に慕われています
幸福度の高さは 精神的・体験的なものに重きを置いているからだと言われています
「1日3食食べられて 寝るところがあって 着るものがあるということが幸せ」
「豊かになることによる幸せではなく 当たり前の生活を送れる幸せ」
幸福は物質的なものでなく 極めて精神的なもののようです
ブータンの経済は10年間 毎年7.5%成長してきました
その成長と共に「幸福度」に陰りが見えてきます
インターネットやスマートフォンの普及すると「欲しいモノ」が次々と目に入ってきます
欲望があおられるわけです
日本車や韓国車が新車のショールームに並びます
自動車税を上げ 自動車ローンに対する規制も強化されたが 国民の自動車購入意欲は一向に衰えないようです
戦後の日本に似ているのかもしれません
傷害や窃盗などに手を染める若者が増えていきます
10年前までは考えられないことです
日本の映画『クローズZERO』が大いにうけて 感化された若者が徒党を組んで乱闘をするのが社会問題になったようです
『クローズZERO』の視聴を禁止する学校もあったとか
インターネット や スマートフォンの普及で 海外の映画 や ドラマを見る若者が増えたことが原因とされています
世界幸福度報告書=World Happiness Reporの調査では ブータンは156ヶ国中95位にまで落ちたようです
「物質的な豊かさ」と「精神的豊かさ」はイコールではないということです
「仙人」と「俗人」
「 経済」は数字で計れますが「幸福」は数字で計れません
道教思想に面白い考え方があります
皆さんは「仙人」というと「山奥で修業した 髭の長い 特別な力をもつ老人」というイメージでしょうか
欠けている部分=谷の部分を常に見ている人を
「谷の人」⇒「俗」⇒ 俗人というそうです
「あれが欲しい」「給与を増やしたい」「もっといい暮らししたい」
資本主義経済は「満たされていない『欠け=谷』」を満たそうとするエネルギーで成長するように思えます
逆に「ここがありがたい」「ここが幸せだ」「ここに感謝している」など 多くが「山」に見える人
「山の人」⇒「仙」⇒ 仙人というそうです
仙人とは修業により「特殊能力を身につけた人」でなく「すべてを有難く感じることのできる心」を創り上げた人のことだそうです
人に「幸福とは何か」を説ける人です
「失って初めてそのありがたさを知る」のが俗人
「常にありがたさを知っている」のが仙人
「モノの豊かさ」と「心の幸福度」は極めて哲学的な問題のようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました