一所懸命は武士の文化
私の新卒で入社した会社の入社研修で「一生懸命ではなく一所懸命」と講義を受けます
この頃から時代は「石の上にも3年はもう古い」と転職をあおるようになってきます
私のいた会社でも転職者こそいないものの、自己申告書に転勤希望をする若手社員が増えていました
「隣の芝生は青く見える」と言いますが「もっといい場所があるはずだ!」と自分の部署や支店から出ることを希望する若手社員が徐々に増え始めていたようです
たしかに無役職の若手は環境を変える力はないので逃げ出すしかありません
困った会社の洗脳教育が「一所懸命」で、武士は守れと言われた場所を懸命に守ってきたんだぞということです
ある程度社会人経験を積めば「会社に楽園のような部署も支店もない」と気づくのですが・・・
会社選びの基本として『人間関係と労働条件のいい会社=定着率のいい会社』という基準が今は重要視されているようです
人には安全への欲求がありますから「自分の働く場所は安全か?」は気になって当然です
会社四季報や他の情報として定着率は公表されるようになりましたが、逆に定着率の良さに苦しんでいる会社もあります
定着率の良さは高齢化を招く
私が新卒で入社した会社にはグループ企業で5社ありました
25年勤めて去る時は9社になっていましたが、入社15年目くらいの時に1社が倒産します
「もう20年以上新卒を採っていない」
「社員が高齢化して時代変化についていけなくなった」
「全くヒット商品も販促方法も生まれなくなった」
「一番若い社員は49歳が一人」
という具合でした
「激しい競争で社員はギスギスしている」「世代間ギャップの問題も多い」という私の会社に比べ、この会社は社員の人間関係も素晴らしく、社長も人格者でしたが「仲良し集団がどんどん高齢化して滅びた」ということです
次の会社でも「企業買収をしないか」という提案をコンサルティング会社に言われましたが、同じく地方の「社員の平均年齢80代」の会社でした
「仲良きことは美しきかな」を絵にかいたような会社です
「社員の団結力も素晴らしい」「顧客をしっかり持っており信頼されている」とのことでしたが、まずパソコンを使える社員が一人もおりませんので、すべてが手書きの書類をFAXで送ってきます
「明るく前向きで協調的」「この人柄なら顧客にも好かれるだろう」というのはよくわかりますが、共同でやるには首都圏のメンバー2人位を転勤させて在中させるしかなく、見送ったことがあります
人間関係が素晴らしく、定着率も抜群な故に高齢化で滅びた組織は2つ見たことがあります
時代を変えるのは若者
非常に業績の良く定着率のいい会社の社長に「観光業の採用に移ってから、あまりの定着率の悪さに困っている」といったことがあります
意外な言葉が返ってきます「万年人手不足なんてぜいたくな悩みだ!」
「???」返す言葉に詰まりましたが「社員は皆性格もよく団結力も強いので人が全く辞めずに高齢化が進んでいる」
「君の会社は平均年齢31歳でうちは57歳」
「このままいけば会社はなくなる」
「特に事務系は30年以上人が辞めていない」
「営業マンを増やせば売り上げが上がるが、事務員を増やしても売り上げは上がらない」
「会計ソフト等進んでいるから事務員を減らして、営業の若手を採りたいがそれができていない」
と全く異なる悩みを抱えています
「若手を採ってもすぐ辞めるというが、〇人に1人は残るならいいじゃないか!前の仕事の定着率で計算しているから悩むのだ」
さらに
「時代を変えるのは①若者②よそ者③ばか者だ!」
「安定・安全・安心な環境にいれば人は変化しない」と言われます
ベテラン社員は仕事ができるだけでなく和合性があるので「新しい人を入れるより続けてもらった方がいい」とついつい考えてしまいがちですが、知らず知らずのうちに変化に取り残された組織になってしまいます
採用で苦労してさらに定着率も悪い若手を採用・教育するのはマストのようです
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました