なぜ企画が却下されるのか
本社の営業企画部にいた頃、様々なイベントを企画する責任者でした
当然企画したイベントには経費が掛かります
「かけたコストは利益として回収しなければならない」はよくわかっています
営業部や商品本部の人たちは好意的でしたが、いつもA経理課長が難癖付けてきます
同じ課長でも私は地方の支店から来た新参者
A経理課長は14年先輩で経理のキャリアも25年のベテラン
定期採用しかいないこの会社は部活のように入社年で上下関係があります
銀行の融資部のようなので、私の部署では『融資課長』などと呼んでいました
最初の3か月くらいは部長や他の課長が援護射撃してくれます
実は営業企画部の3課長は出身大学が一緒でした
援護射撃がなくなると、経理課長から却下!却下!の連打です
「新参者いびりか?こいつは数字でしか物事を判断できない冷たい脳みそをしてるのか?」と考えたりします
そもそも20人にも満たない支店の長の頃はチェック者がいなかったので、企画したら即実行の世界でした
本社という大組織ではそうもいきません
段取りというものに未熟だったのも確かですが、毎日通勤の小田急線の中で悶々としていました
大軍を動かすには大義名分が必要
経理課の後輩に「A課長は曲者だよね?」と尋ねます
「支店の主任時代は部下想いの人だったと評判はいいですよ!なんせ今は会社の金庫番ですからね!支店の経費担当とはわけが違いますよ」とのこと
そうこうするうちに日限が迫ってきます
A経理課長自ら私のところに来ると「本部のカタチから入る企画と違って、アイディアが面白いよね」と切り出しアドバイスしてくれます
「支店の『やれ!』だけで動かせるのと違い、2,300人の営業社員を動かすには大義名分が弱いと動かない」と真っ先に言われます
大義名分・・・考えてなかった
大義名分とは『重大な行動を起こす際の名目・根拠・事由』のこと
たとえば戦争の大義名分なら開戦事由を指します
日本が太平洋戦争のとき、アジアは白人の国々の植民地となっていたので「白人社会からの解放」「大東亜共栄圏を築く」という大義名分の下に開戦に踏み切りました
「大義」には人として守るべき事柄、 重要な意義
すなわち「守るべき正しい道」を表す語です
次いでいいアドバイスをしてくれます
「俺もそうだったけど、本社に来ると背伸びして意味なく難しく書いたりする」
「中学生にわかるようなレベルにかみ砕いてほしい」
「数字はカラフルなグラフにして、見出し⇒説明の流れで図を多用化してほしい」
など指摘された通りに書き直します
後日、本部長から「よくなったね!誰かに何か言われたかい?」と笑っています
支店長というお山の大将で長年過ごし「俺が企画すれば予算はいく」などと少し思っていましたが『自信の8割は根拠のないもの』ということがよくわかりました
技の鍛錬×指導×実戦経験から人は『型』ができると言いますが、最初の一年間は型作りの一年でした
大義名分が弱いと勝てるものも勝てない
ロシアのウクライナ侵攻の大義名分は「ウクライナのナチ化でウクライナに住んでいるロシア人が苦しめられている」というものです
これが真実か否かはおいといて『この大義名分で兵士は動くか』ということです
ロシアは世界第2位の軍事大国なので武器は豊富ですが兵士の士気が問題とされています
一方のウクライナは武器は不足していますが兵士の士気は高いです
ウクライナの兵士の平均年齢は30~35歳
対峙するロシアの兵士の平均年齢は20歳~25歳の徴兵された若者が中心です
『曖昧な大義名分で徴兵された若者』vs『国を守る強い大義名分の志願兵』の戦いです
「命を懸けてまでウクライナと戦争する意味はあるのか?」と考えれば士気は落ちます
「冷酷な侵略者から家族と国を守るんだ!」と考えれば士気は上がります
多くの人員を動かすには大義名分は非常に大切だと今回の戦争で改めて実感しました
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました