モルトケの法則
ヘルムート・カール・ベルンハルト・グラーフ(伯爵)フォン・モルトケ
プロイセンおよびドイツの貴族、陸軍軍人、政治家 、軍事学者で、爵位は伯爵で陸軍の最終階級は元帥
1858年から1888年にかけてプロイセン参謀総長を務め、対デンマーク戦争・普墺戦争・普仏戦争を勝利に導き、ドイツ統一に貢献した。近代ドイツ陸軍の父と呼ばれた人物です
モルトケは「戦争を戦術的に考えることが戦争の結果を最適化する」という考え方を提唱し、企業の人材育成や経営戦略にも応用されています
・能力が高く意欲も高い人
・能力は高いが意欲は低い人
・能力は低いが意欲は高い人
・能力も意欲も低い人
の誰を優先的に用いるべきか?と問われれば、私達は『能力が高く意欲も高い人』と考えます
次はと聞かれれば『能力は低いが意欲は高い人』は努力家で執念で結果を出してくれそうと感じたりします
『能力は高いが意欲は低い人』は才能はあるのに全力は出さない歯がゆい人で『能力も意欲も低い人』は論外といった感じです
「意欲が高い人の方がいいに決まってる!」というのは努力信仰の強い日本人らしい発想なのかもしれません
自分の会社組織を観察してみよう
モルトケは『能力が高く意欲の高い人間は重要なポストにつかせてはいけない』と述べています
「えっ!なぜ?」と思ってしまいますが、意欲は「 出世欲」「手柄欲」「利益欲 」と直結し、ひと言でいえば『エゴ』が強くなり、組織に害をなしやすい からです
上司と対立する可能性があり扱いにくく「自分は上司より優れている」と勝手な判断で動く場合があります
強く権力で抑え込んでも、会社の経営陣の批判を下の者にしたりする恐れもあります
「とにかく害になるから大きな権限を与えるな!」ということのようです
モルトケ
絶対に重要視してはいけないのが『能力は低いが意欲は高い』タイプで、意欲だけが空回りしてしまう可能性あるからのようです
一般的に意欲やバイタリティ溢れる人は「頑張ってるね」「努力家だね」と高く評価されがちですが、意欲の高さが能力の低さをカムフラージュしているのがまずいのです
周りも頑張っていると評価をしてしまい、実力とは関係なしに何となく評価されがちで、本来の成果をキチンと見極めずに評価し登用してしまうとやはり組織を害します
組織に必要なのは『成果・結果』であり、やる気と仕事に対する能力に相関はありません
また能力はなくとも出世欲や権力欲は高いタイプも問題で、人を蹴落としたりして手段を択ばず出世しようとします
「責任は部下に押し付け、部下の手柄はかっさらう」という人がそうで、大きな組織には良く見受けられます
仕事ができないけど出世したがる人は確かに下にいる社員がまいってしまいます
意欲が高いことはいいことに思いますが、その意欲が時に組織に大きなダメージを与えることがあるので危険視されているということで、やる気やバイタリティに騙され、間違った登用をすれば組織は衰退してしまうのを知っていトップはこの辺をよく理解しているのかもしれません
組織はスムーズに動くことを第一とする
もっとも重く扱うべきは『意欲は低いが能力は高い人』で、命令に従順であり、確実に業務を遂行するからです
「なんか社長の周りの役員を見ていると、いい大学を出ているけれどパッとしないよね」
「部長って頭は良くて仕事はこなすんだけどイエスマンだよね」
などと言われている組織の方がいいのかもしれません
2番目に重要視するべきなのが『能力も意欲も低い人』で「なんで?リストラの対象じゃん」と考えてしまいますが、業務上扱いやすいし長く使っているうちにその業務ではなくてはならない人になったりします
考えてみれば「給料をもらうために働く」人が多いわけで「そこそこ人間関係が良くて、ブラック労働でなければいいや」という人が大半かもしれません
「オオカミは滅んだが犬は増え続けている」「虎は絶滅の危機に瀕しているが猫は増え続けている」同じ種なのにこの差は何か?
犬は番犬として使える、猫は蔵のネズミを捕ってくれるという能力をかわれて人と共存することになりました
オオカミや虎と違う犬と猫の共通点は『役に立つ・扱いやすい・可愛い』ということです
適者生存の法則で考えても『扱いやすくて役に立つ』は従業員としては重要な要素です
組織で生きていくには意欲や能力は意外に必要ないのかもしれません
一度、モルトケの法則で自分の属している組織を観察してみることをお勧めします
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました