離職率が高い会社はきつくなっていく
前回Z世代の扱いずらさを述べましたが、とにかく本社から送られてくるのは「Z世代を定着化・育成・戦力化」などの内容が多いです
「Z世代に対してX世代以上が注意すべき点」のような内容もしばしば発信されてきます
私の席の周りはX世代が多いので「Z世代は貴重品」「X世代は視野に入ってない」と感じることが多く「ZZZってうるさいね!まるでZがスマホでXがガラケーみたいに言い方だ」という人もいます
X世代は平成入社でも上司はバリバリの昭和入社が多く、モーレツ世代に鍛えられているので今の時代に合わない思考や習性も残ってたりします
地元に戻り、リゾート部門の採用に配属されましたがあまりの定着率の低さに戸惑います
採用責任者を過去例を見ないくらい重要視してくれ、期待してくれるので最初のうちは非常にいい気分でしたが『離職率が高い=万年人手不足』で採用業務は命綱のように見ているとわかります
今までは「学校側が企業に来るもの」と思ってましたが「少しでも時間が空いたら学校訪問してくれ」と言われたことに違和感がありました
近隣の学校だけではありません!東北地方にまで足を運びます
学校の就職課の求人票を見ても、高校・専門学校はいいとしても大学では「宿泊業だけ給料が安っ!」と驚きます
東京地区を担当してる採用責任者の先輩社員が「うちに来る学生は面接では、さも志望しているような態度でいるが、実際はすべて選考で落とされ『3Kか飲食・宿泊にでも行くか』と妥協の終着点にしてる学生がけっこう多いと思うよ」と教えてくれます
「就職戦線で最後に残った質の悪い学生が、妥協した仕事するんだから離職率も高いよね」
と言われ納得します
「それでも縁あって入社してくれた若者には愛着をもって教育・研修していかないと」
とも言われます
私の場合#採用経験者 #教育・研修経験者 #ノルマ型営業経験者 にヒットしたのが配属の理由で、ほっといても何千人の学生が殺到し「さてどの学生を選ぼうか?」という人気企業の採用担当者だったら必要なかったからだと言われたことがあります
営業経験が買われた最大のポイントです
1カ月で半分の新入社員が辞めた会社
3月に来て、前任の採用責任者が採用した10人(採用予定の30%)の新入社員研修を行います
夏が終わり秋になる多頃、古株の営業部長に「すごいですね!半年たって全員残っているなんて!」と言われ「この人なに言ってんだ?」と思っていましたが、3年続け最初の1年間で新入社員はすべて辞めてしまっていたようです
その前も似たようなもので「世の中にここまで定着率の悪い会社はあるのか?」と思いましたが、宿泊業自体皆同じだと言われます
社員も新入社員がすぐ辞めることに驚きはなく、異常が正常化した状態です
とりたて異常な管理職がいたわけでなく、ハラスメントがあったわけでなく、休日も100%月に10日取得でき、有給休暇もとれてます
最初の1年間は研修量が多ければその後の定着率が良いのは知っていたので、そのせいで定着率が多少改善されたのだと思います
「しかし何でこんなに定着率が悪いんだろう?」はこの時は理解できませんでした
フロント業務、レストランのサービス、客室業務の責任者に「ここまで定着率が悪いならマシン化した方がいいのでは?」と休憩室で話すと「私もそう思います!採用費・教育時間を考えるとそちらにシフトした方がいいです」と述べてきます
日本は今後かなりのペースで労働人口が減り続けます
ただでさえ、コロナ後の労働市場は人手不足なのだから機械に代替えしていかないと機能しなくなる会社も出てきます
「機会に仕事を奪われる」とか「AIに仕事を奪われる」など力説する人がいますが「代替えスピードより労働人口減の方が早い」と分析している人もいます
奪われたら奪われたで『リスキニングして人が求められている仕事へ移動する』という世界の労働のスタンダードを実践すればいい話です
7割の企業が新卒初任給を20~30%アップしたそうですが、それでも全社が上げているので差別化になりません
『採用力を強化して必要十分以上の人員を確保する』か『人に変わる労働力にシフトする』が求められてきます
採用力がなければ下位の学生ばかり引かされます
また実態以上に会社を良く見せるのも問題です
東洋経済オンラインの記事で見ましたが
社長の命令で例年の5倍の採用コストと1年間の入念な準備を経て、例年の2倍の数の新卒を採用した企業があります
結果、採用数も倍ですが質的にも優秀な新入社員が入社したそうで、社長は手放しで喜びます
しかし、そのうちの半数が1カ月も経たずに退職してしまいます
残った新入社員のうちの半分も辞めたいと考えていると言います
採用責任者が着目したのは「働きがい」で、 辞めたほとんど全員が「働きがいを感じられない」を口にしていたようです
合同説明会から複数回の面接を経て入社するまで「当社は働きがいのある会社」とアピールし続け、社長も「働きがいのある会社に生まれ変わった」と事あるごとに繰り返していたようで、新入社員からすると裏切られたと感じたのかもしれないと分析します
「働きがい」という言葉はリスクが高いのです
この言葉の意味を多くの人が誤解していると言います
「働きがい」と似た言葉に「やりがい」という言葉がありますが「やりがい」とは困難を乗り越えて成果を出し、同僚やお客様から感謝されてはじめて「やったかいがあった」と思えるものです
一方「働きがい」は「やりがい」よりも抽象度が高く「やる」と「働く」とでは対象範囲が違いすぎるのです
「働きがい」は数年働いてからでないと味わえないもので、今後働きがいを感じることがますます難しくなる時代が到来すると予測されています
要因の一つとしてAIの進化が挙げられ、近年のデジタルシフトにより単純な知的労働は徐々に人から仕事を奪っています
ここ数年、働きがいや心理的安全性・エンゲージメント・ワークライフバランス・クオリティーオブライフといった新語がよく用いられますが、これらのワードに関心が高いのは、就職や転職活動を行っている人たちと経営者や役員です
現場の人たちは、意識している余裕がないのです
・劇的な環境変化に伴い、成果の出し方が変わっている
・デジタル対応やリスキリングなど身につけるべき知識やスキルが多すぎて、部下育成している場合ではない
そんな状況で「入社したら、まるで働きがいを感じられないんですが」 と新入社員に指摘されても、どうしたらいいかわからないのが新入社員を受け入れる現場の先輩たちの本音だろうと思います
段取り8分・採用責任8分
私が新卒で入社し採用企画部に配属された時は
・経営戦略にのっとり人事企画課が短期・中期・長期の必要人員を算出する
・採用企画部が採用を行う
・配属は人事部が行う
・教育は教育企画部が行う
の4分業制でした
新入社員も退職者0の年もありましたが、5%前後は退職します
「退職者が出たらだれが悪いのか?」
『現場』『採用』『新入社員』の3つのどれかに問題があるとすると、私の会社の場合は「採用に責任の多くをおく」というスタンスでした
就職活動は恋愛と同じで
学生側は「この企業に是非入社したい」
企業側は「この学生が欲しい」
という相思相愛が理想です
従って大きな学生分類は『学生の質』と『志望度の高低』でした
恋愛なら『人物的な理想度』と『自分への愛着度』になります
もちろん両方が高い方が一番いいのです
学生の質をイ・ロ・ハで記入し、志望度を上・中・下で表します
人物的にはよいが志望度の熱が少し弱い場合『仲』という人辺に中と記入し、学生に見られたときに相手も何の意味かわかりません
『イ上』の学生がとにかく採用基準ですから「多くの学生に足を運んでもらい、会社を知ってもらい志望度を上げてもらう」ことが重要になってきます
・志望度が低くとりあえず入社した新入社員なら耐久力がなく
・質の低い学生を採用すれば仕事が嫌になる
「だからうちは人事部とは別部署で設置し、採用担当者数も多い」=お金をかけて採用業務をしているということです
「段取り八部」と言いますが「退職責任は採用八部」という発想でした
現場に責任のウエイトを置く会社もあると思います
新入社員のせいにする原因他人論の会社もあると思います
それは各企業それぞれで良いと思いますが、人を採用するという業務はかなり責任があり、やりがいもある業務だと思います
・片手間に採用業務をする会社
・専任をつけ積極的に採用業務をする会社
・入社志望者が列をなしてつめ掛けてくる人気の会社
いろいろあると思いますが、適当にやれば適当な人材しか集まりません
「なんであいつはあんなにもてるんだ!」という『恋愛強者』が存在するように『採用強者』が新卒のいい部分をほぼ獲得しているのも事実です
恋愛弱者でも工夫をしてもてる人間はいます
採用弱者も「ハンデを工夫で克服する」か「採用強者になるか」しか質の高い学生を確保できないです
それがなかなか難しい場合は、耐久力を身につけ即戦力のミドル採用が効率が良いと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました