意外に酷な雇用延長
とある元部長は60歳で役職を降り70歳までパートで再雇用する道を選びました
「住宅ローンもあるし、下の子はまだ大学生だから延長は助かる」と当初は言ってました
いつも新入社員研修を講師として手伝ってもらっていたのですが、最近はめっきり会う機会もなくなり、久々に会うと「ずいぶんやつれたな・・・」という印象です
「実はかみさんに『そんな生気のない死んだ目をして出勤を続けるのなら辞めた方がいい』と言われたんだよ」と話してくれました
管理側からただのスタッフに降りた2人の女性は「早く帰れるようになって○○はじめた」と生き生きしてる姿をよく見かけていたので「責任から解放されて新しい人生が楽しそうだ」という感じでしたが、男性は違うようです
・会議にも出なくなった
・部下はいなく上司はだいぶ年下
・40年間主力社員として会社を支えてきた自負心は消え
・人に頼りにされることもなくなった
・企画を考えたり計画書などの作成もなくなった
「これが自分にとっていかにエネルギーだったかよくわかった」と述べていました
人の雇用は「相場」次第
昭和入社は「新卒で入った会社に終身雇用と年功序列制度で最後まで勤めて、定年後は退職金と年金で暮らす」というライフプランが脳に焼き付いています
平成でバブル経済崩壊後の人は「日本はやばいぞ!」と理解しながらも「うちの会社は終身雇用だろ・・・」と脳の半分は昭和型雇用が占めています
個人の事業で建設会社の方々と多く合いますが「建設現場は万年人手不足で必然的に終身雇用なんだよ」と語ってました
「でも団塊の世代の職人が限界に来た人が多くピンチの会社が多い!なんとかひきとめてるんだが・・・」とのこと
「終身雇用はもう維持できない」という会社と
「定年などない!できるだけ長くいて欲しい」という会社があります
これは大事な事なので求人票に明記して欲しいくらいですが、見分け方はあります
基本的に多額の退職金を上乗せして退職希望者を募る『早期退職金制度』は大企業です
毎年、高い倍率の選考を勝ち抜いて何百人も新入社員が入社してくる会社は、人材不足になることはなく、逆に余剰人員を抱えやすくなります
終身雇用希望なら大企業はもはや『寄らば大樹の陰』ではありません
先ほど話した建設会社の社長は「なんとかリタイアしたいという社員を説得して残留が決まった」と喜んでました
説得したという社員は70代です
求人は相場で動いていますので「不足していれば大切にされる」「過剰になれば放出したがる」のです
逆にステップアップするキャリアを考えているのであれば大企業です
同期入社間の競争が激しいし、教育体系がしっかりしています
企業により人材の事情は違う
リクルートのように35歳になると皆、独立していく会社もあります
かつての全日本女子プロレスという団体の定年は25歳でした
入社希望者は「太く短い会社員人生」とわかって入社してきます
私も大企業に24年勤め中小企業に移りました
社長から電話が入り「■■支店の○○から退職が出ました!」と言われます
「ああ、そうですか、後釜は誰を転勤させましょう?」というと
「後釜なんていませんよ!今から2人で説得に行きましょう!」と即動きます
完全に大企業病で「代わりはいくらでもいる」というスタイルが抜けずのんきでした
大企業病に侵されると機動力が弱く、守備範囲も狭いです
メインバンクの支店長に「これからは新卒の大学生の定期採用をはじめ、幹部候補生を育てた方がいい」と指摘され、定期採用をスタートし5年もするとこのような人材不足でバタバタすることは無くなりましたが、20年もすると『余剰管理職の問題』が発生してくると思います
人材の台所事情は企業によって違います
自分は『終身雇用希望』なのか
または『ステップアップするキャリアを希望する』のかで企業も選ぶ必要があります
「私は銀行員だからあなたと結婚した」
「大手商社社員でなくなるなんて考えられない」
というブランド志向の奥様もいますが、大概は「パートナーには生き生きした人生を送って欲しい」と願っていると思います
「終身雇用は終わった」と騒いでいる人は大手企業に出入りしているコンサルタントや大手の人事関係者が多く、数の上では「できるだけ長く勤めて欲しい」と望んでいる会社はかなり多いと思います
仕事の選択を行う時に「仕事内容」「待遇」などと同時に「自分の望むライフスタイル」も大切になってくると思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました