求められる人材は環境で変化していく
人手不足か否かで採用は変わってきます
人手不足であれば、採用基準のハードルは下がり『量の採用』になります
人が足りていての定期採用であれば『質の採用』となり、ハードルは上がります
『採用の基準も相場で決まる』といえます
学生からの質問で「御社が必要とする人材はどんな人ですか?」と聞かれますが
「全国転勤をしてくれる人が欲しい」
「競争に強く積極的な人が欲しい」
「温厚で人に好かれる人が欲しい」
「とにかく若者が欲しい」
など、その時不足している人材を採用してバランスをとりたい場合もあります
会社で観ればほしい人材は『足りない資質』となりますが、国全体で観れば『時代の求めるもの』となる気がします
昭和のような高度成長時代はバリバリ働く根性と忠誠心がある社員でした
平成初期と令和では求められる人材が違ってきたように見えます
能力か人柄か
長らく採用・教育の仕事をしていて、平成初期の頃に比べ『学歴や能力が重視されなくなってきた』と感じることがあります
逆に管理職の人事を見ていても、実績よりハラスメントなどとは無縁な人を上に上げたがります
『学歴・能力より人柄重視の時代』と感じることがあります
「能力があるなしが評価の基準だろ!」とやはり考えますよね
歴史で観てみれば
戦国の乱世を生きた織田信長はとにかく家柄より能力を重視しました
農民出身である秀吉を重臣として扱い、家柄の高い家臣は反発をおぼえたほどです
逆に太平の世を築いた徳川家康は凡人の秀忠を二代目の将軍にするなど、人柄重視でした
周りを西欧列強が植民地化していた明治の時代、海軍の山本権兵衛は維新の功労者の役職者をすべて解雇して、海軍大学で正当な知識を身につけた者を士官にしていきました
「過去の手柄など関係ない!正当な教育を受けてきた者に指揮をとらせないと西洋列強の植民地になってしまう!」という学歴重視の考えで、見事に日清・日露戦争に勝利を治めます
時代背景で求められる人物も変わってきます
人柄重視の時代
私も新任支店長時代、絶不調店いたを任されて、とにかく必要なのが『実績を上げれる社員』でした
4人が抜きんでて素晴らしい実績をつくると、椅子の脚が4本で安定するように支店が安定し『四天王』などと呼ばれるようになります
その後に3人が追い上げるように続きました
顧客やノウハウが蓄積され支店が安定してくると「和を乱す人間はいらない」「人を不快にする人間はいらない」というマインドに変化していきます
苦しい時代を支えてくれた営業マンは「腕っぷしは強いが鼻っ柱も強く和を乱す」傾向にあり『人柄の良い人間をリーダーにしたい』というマインドに変化していきました
とはいえ「功労者を邪険にできない」「急に人柄重視にできない」「でも鼻っ柱が強い功労者がいると人の定着や成長に害がある」という時代の変化期独特の矛盾に悩みます
ここでは転勤に救われましたが、次に誘われた小さな会社でも同じ目に合います
創業期に支えてくれた中間採用の支店長達と新卒で採用した若者たちの交代期がやはりきます
「俺たちが会社をここまで大きくした!」という自負心が強い創業メンバーは社長に対しても強く意見を述べます
対して社長は自社でしっかり教育して成長した若手に置き換えようとします
社長と創業時代の支店長達の板挟みできつい目に合いました
『戦国時代は能力主義 平和な時代は人柄重視』といえそうです
問題なのはその過渡期です
国家はゆるりと時代変化し、大企業もゆっくり変化しますが、支店や小企業などの小さな世界は急な変化となります
時代変化を読んだ人事制度や評価基準をあらかじめ考えておくことが大切です
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました