蒸気機関車でなく新幹線
私が社会に出た頃の平成は経済が縮小し、昭和型のリーダー達が「マイナスをプラスに!」と気合で引っ張っていた時代でした
昭和型リーダーは『俺についてこい!』タイプが多く、ヒヨッコだった私から見ると〈指示〉というより〈激〉に近いものでした
まるで蒸気機関車のようです
頭からモクモク煙を出して、頑強な黒い車体でグイグイ引っ張ります
そんな時、支店長・課長などにまだなってない私たちの会議で営業本部長が
「これからは蒸気機関車でなく新幹線型リーダーの時代だ」と述べました
蒸気機関車は勇ましいがスピードが出ない
新幹線は各車両にモーターがあり格段にスピードが出る
各車両のモーターはメンバーのやる気である
「SSS=シンプル・スマート・スピーディーがマネジメントの基本」
日本の経済は数十年下がり続ける一方で、どこの組織も「高度成長期のやり方のすべてを一新しなければならない」という考えが強かったと思います
シンプル・スマート・スピーディー
組織は指揮官で大きく変わります
シンプル・スマート・スピーディーのSSSマネジメント は
①シンプル・・『わかりやすく動きやすい指示』『短い朝礼・ミーティング』
②スマート・・『自慢話・説教はしない』『勘と気合でなく倫理と数字』
③スピーディー・・『すぐに取り掛かる』『明日に先延ばししない』
「なんだ、そんなことか・・・」と思いますが昭和リーダーはこれができません
「朝は引き締めないと!」と長く激しい朝礼
気合優先の精神論が多くを占めるミーティング
人は簡単には変われないようです
「新社長のSSSなどぬるいことしてたら数字なんかできないぞ!」と息巻いてましたが、結果を出したのは平成からリーダーになった人たちでした
「支店もあまり増えないし、俺たちは支店長になれないのでは・・・」と同じ世代はぼやいてましたが、予算のいかない支店長は降職になるようになり我々にもポストが廻ってきました
年功序列が壊れ、成果主義に移行したことは有りがたかったです
成果主義に関しては「日本の文化に合わない」「組織に悲劇が起こる」などいろいろ言われますが、私個人的には大賛成です
日本で最もシビアな成果主義は〈受験生〉だと思います
「すごく頑張った」「環境が悪かった」などは見られず問答無用に数字で線が引かれます
受験生に比べれば社会人の成果主義など甘い方です
後輩に習ったサーバントリーダー
後輩にY君という支店長がいました
営業競争が激しい大型支店で立派な実績を作り続け、同期で1番に支店長になった優秀な社員です
Y君には黒歴史があります
新規出店の支店長になりたての年、主任以外の営業社員15名が全員辞めてしまったことです
張り切ってやり過ぎたようです!
こういう時は「名選手、名監督にあらず」などいろいろ言われます
心配で電話は良くしましたが「いや~不気味なくらい会社からは何も言われないです、営業部長はかばってくれてますが、人事部にはロックオンされているみたいです」
1年で支店長降職・・・を覚悟していたようです
Y君はこれが転機となり自称『奉仕型リーダー』へと変わっていきます
「スタッフの数字に✖なんてつけちゃダメです!△でも僕は申し訳なさそうに理由を説明します」
「部下を図に乗らせるのが上司の役目」
「少しでも数字が上がったら『ありがとう』」
「同じ目の高さに立つ」
「減点主義より加点主義」
「朝礼は成功例を褒めたたえる時間」
あらゆる支店長の中で、最も見習うべき点が多かったのがY君です
まさに『陰が極まれば陽となる』でした
「アメリカでは『サーバントリーダー』の時代だそうですが、『サーバントって奴隷?』と思っていたら『とことん部下に奉仕するリーダー』のことでした」
「あの時の僕にはもうこの生き方しか残されておらず、素直に真面目に実践してきました」
Y君は入社以来、昭和型の激しい上長のマネジメントしか知らずに生きてきました
新規出店の支店でそれを実践したらとんでもないことになり、そこで初めて時代に合わないと気付きます
「これからは『奉仕型リーダーの時代』になりますよ!『部下に恵まれてる』と思えない人は淘汰されていくと思います」
時代は令和になりY君の言う通り『奉仕型リーダー』が理想とされるようになったと思います
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました